21: ◆Rj0X.392Pk
2017/06/04(日) 21:07:59.08 ID:eT+S8Zf10
「……藍子はゆるふわって言われるのが嫌なのか?」
絞り出したのは、質問を質問で返すことだった。
それでも、彼にとっては会話を続けることが必要だった。
「……嫌ってわけではないです。嬉しくもないですけど、ただただ辛いです」
なんて悲しい声音だろうか。
そんな声を出させるために彼女をアイドルにしたのではない。
「それでも、それでも俺は……。藍子のゆるふわなところが好きだよ」
愛の告白とは違う、素直な感想が自然とこぼれていた。
藍子の顔は見えない。見る勇気がなくて視線を外してしまったせいだ。
「藍子だけが持ってる柔らかい雰囲気。その中で微笑んでいる藍子はとっても魅力的なんだって俺は知ってる」
「……それでも、私は辛いです。時計が怖くて、私や誰かの時間を無意識に奪ってしまう」
果たして彼の言葉が届くのだろうか。
どんな言葉でも拒絶されてしまう気もする。
だったらどうすればいいのか。
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