8: ◆Rj0X.392Pk
2017/06/04(日) 20:59:29.90 ID:eT+S8Zf10
「そうか」
「…………」
重い沈黙。
たった一瞬の間だとしても、藍子にとっては長い時間のように思える。
「じゃあどうして時計を見ていなかったんだ? 藍子もプロなんだ。時間の大切さはよくわかってるはずだろ?」
「はい。……時計を見ていなかったのは、今朝気分が悪くなったんです」
「気分が?」
「といっても吐きそうとか、だるいとかそういう症状ではないんですけど……」
藍子にとっても説明のしようがない感覚のせいか、語尾になるにつれ声が萎んでいく。
「何かの病気だったりはしないのか? 一度病院に行ってみるとか」
「いえ、昔から、小さいときから起こってた現象なので病院には何度か行ったことがあるんです。大体ストレスとか精神面の問題って診断されてました」
「そういえば藍子の履歴書にそんなことが書いてあったな。特に今まで問題なくて忘れてたけど」
藍子の履歴書には補足事項として書いてあった。デビューするまでの期間、それとなく注意していたが結果的に一度も発作は起こらなかった。
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