フロック「悪魔の眷属」
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12:名無しNIPPER[saga]
2017/07/01(土) 13:17:45.66 ID:6iX1oIEk0

俺はアルミンに背を向けて、やわらかい砂を手でまさぐった。
遊びに来たわけじゃねえが、土産の一つもねえのはさすがにあれだ。

フロック 「特別っていうなら、お前の幼なじみ二人の方が特別だ」

アルミン 「そう?嬉しいな」

フロック 「ここ、一応怒るとこだぞ」

アルミン 「そういうつもりだったのかい?……あ、それ」

フロック 「ん?」


指さされたのは、胸元。俺は貝殻を拾ってポケットに入れると、
自分の胸に視線を落とす。


アルミン 「ずっと気になっていたんだ。それ……エルヴィン団長の、形見だよね」

フロック 「ああ……」ギュッ


真ん中に埋めこまれた青い宝石を握りしめる。新兵の給料じゃとても買えない奴だ。
なにせ団長就任式で王様からもらったやつらしいからな。俺なんかが持っていいのやら。


アルミン 「君は、やっぱり……団長を死なせた僕が憎い?だから、それを受け継ごうというの?」

フロック 「いや。あそこで言ったのが、俺の全部だ。お前個人に言いたいことはたぶん違う」

視線を合わせると、アルミンは決心したみたいに隣に座った。

フロック 「お前、ベルトルトが生きていた時のことを考えてるだろ」

アルミン 「……!!」

フロック 「口に入れた一欠片の肉が、一頭の豚だった時のことを思い出すみたいに。
      だからこそ、お前は怖れているんだ――エレンを介して、自分の手を汚さずに
      "それ"を得たことをな」

アルミン 「君は、何を」

フロック 「俺はきっと……エレンやミカサの知らないお前を理解できる。
      お前はあいつらを憎んでいない。いや、全てが明らかになった今、
      あいつらを一瞬でも憎んだ自分を悔いている」

アルミン 「なんで、どうして」フラッ

ふらふらと後退したアルミンはやがて、やわらかい砂に尻もちをついた。

フロック 「そうなんだろ?」

アルミン 「……ああ」グシャッ

アルミン 「なんで君はそうやって、僕が目を背けたい所に触れてくるんだ」

フロック 「お前はもう、色々なものを捨てすぎてんだよ。せめて中身は人間のままでいろ」ポンッ

アルミン 「……」

フロック 「ずっと、これだけは言いたかった。エレンが邪魔でなかなか機会がなかったんだけどな」

アルミン 「そっか……そういえば、僕も気にかかっていることがあったんだ。
      君は、団長を背負っている間、何を考えていたの?」

フロック 「……」


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