9: ◆0PxB4V7kSI[sage saga]
2017/09/08(金) 00:36:32.55 ID:xMQ2bOga0
同じ場所で過ごすと言っても、基本的に彼女たちはあまり言葉を交わさない。
同じ机の下に居ながら、違うものを見て、違うことを考えて、違うことをやっている。
そんな不思議な関係が、彼女達「アンダーザデスク」であった。
そんなこんなで、少し時間が経った頃。
輝子が落ち着かない様子で他の机に移っていた乃々の元まで向かって話しかけた。
「ほ、ほら……乃々ちゃん、あれ……」
「えと、あの……やっぱり、もりくぼが言わないとダメ……ですか?」
「だって、主催は乃々ちゃんだから……」
「……。そう……ですよね。はい、ここはもりくぼがやらなきゃいけない場面です」
「……?」
ギリギリ聞こえないくらいの声量で何やら話している二人に、まゆが疑問符を浮かべる。
が、やがて意を決したように、森久保が机の下から這い出てまゆに切り出した。
「まゆさん、この間のもりくぼの誕生日にパーティーを開いてくれたじゃないですか。
思ったよりもささやかで、安心して……プレゼントまで貰ってしまって……とっても、嬉しかったです。
だ……だから、今度はもりくぼがまゆさんのためにパーティーを開こうと思うんですけど……。
その、是非プロデューサーさんも呼んで。ど、どうでしょうか……?」
1週間とちょっと前の話だ。自身の誕生日もうろ覚えだった森久保が事務所へ帰って来た時に、
事務所の皆がクラッカーを一斉に鳴らして森久保の心臓を止めかけたのは。
はひぃ!と小動物的な鳴き声をあげ、「パーティーとか……無理なんですけど……
もりくぼはささやかなお祝いでいいので、どうか他の方を祝ってあげてください……」と
青ざめた様子の彼女の案を呑み、少人数によるお誕生日会を開いたのだった。
因みにその時のメンバー、通称"もりくぼぱーりー"の一人であるまゆは
森久保に青色のハートのピアスをプレゼントしていた。
人前でつけるには中々勇気がいると思いながらも、森久保はそれをとても気に入っていた。
あれから10日。プレゼントのお礼をする機会を彼女は待っていたのだ。
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