33: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/09/18(月) 23:03:33.06 ID:n8F8dLyB0
「それで、どうだ?」
プロデューサーが真面目な顔になる。
「どうだ、って?」
「地球人の記憶を消すのに失敗したウサミン星人は、このまま帰れるのか?」
「……っ!?」
それこそがプロデューサーにとって、菜々を知るすべての者にとって大事なことだった。
皆の記憶を消したのが菜々が地球から去るためならば、記憶消去に失敗した今なら菜々は地球に帰らないかもしれない。
そんなプロデューサーの期待を、菜々は悲しげに否定する。
「たぶん変わりません。たとえこのまま菜々がウサミン星に戻ったところで、菜々を覚えているのは事務所の皆だけ。仮に事務所がウサミン星について言いふらしたところで、ただの悪ふざけと思われるだけですから」
記録消去装置が破られたのは初めてなのでウサミン星がどう判断するかはわからないが、しかし帰還命令が撤回されることはないだろう。
もともとウサミン星人が痕跡を消すのは、ウサミン星人の存在がその星の技術や文化に影響を与えることを抑えるためだ。
今回のようにたった一つのアイドル事務所が菜々のことを覚えていた程度では、地球の文化に大した影響はない。
それこそ、不特定多数が菜々のことを思い出すようでないと帰還命令が取り消されることはないだろう。
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