34: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/09/18(月) 23:04:30.60 ID:n8F8dLyB0
「でも、皆がナナのことを思い出してくれて本当に嬉しいです」
大切な人達が自分のことを覚えていてくれる。
それだけで、そんな奇跡だけで、菜々はこれまでの時間が報われる思いだった。
これで心置きなくウサミン星に帰ることができる。
「今までありがとうございました」
だからこそ、菜々は心からの感謝を言葉にして伝えた。
きっかけを与えてくれたプロデューサーに、最大の感謝を込めて。
伝えたのだが。
「あ、ごめん。なんだって?」
「なんでこんな時にスマホ弄ってるんですかー!?」
プロデューサーはスマホを操作するのに夢中だった。
「信じられない。今すっごい感動的なシーンだったのに」
「シーンって。菜々もずいぶんアイドルに染まってるよな」
呆れて笑いながらも、プロデューサーはスマホの操作をやめない。
「悪いな。今ちょっと、菜々を探してる皆に見つけたことを知らせてたんだ」
「あ……」
そうだ、さっきプロデューサーは皆で手分けして探していたと言っていた。
ならこれから事務所の皆もここに来るのだろうか。
ウサミン星から迎えがくるまでまだ時間はある。
最後に皆にも別れを告げるべきだろう。
別れ、という単語にまた涙が出そうになり、しかし笑顔でいようと心に決めて皆の到着を待った。
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