8: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/10/05(木) 19:50:47.63 ID:TzvX0Up20
「それに、その作品からインスピレーションは受けましたし……ロコはそれだけで十分なの」
「……はいはい、大人の御意見で」
「理解できたならプロデューサー、そこのカンナを取って下さい」
「ほら」
「サンクスです!」
そうして道具を受け取ると、ロコはいつものふにゃっとした笑顔を浮かべて言ったんだ。
「後、グラティテュードならまた一緒にお仕事がしたいですね。……期待してますよ、プロデューサー!」
結局ロコは、予想通り指輪を受け取りはしなかった。
小窯さんは俺の図々しさに期待をしていたようだけど、
プロデューサーとしてはアイドルの自由意思を尊重。
受け取らないって言う物を、無理に渡して気分を損ねるのも得は無いし。
せっかくだからこの指輪は――。
「あ、そうだ」
「ん、なんだ?」
「その指輪、ちゃんとオガマさんに返してくださいね? セールオフなんかしちゃダメですよ」
ポッケに入れようとしたトコを、ロコに優しくとがめられる。
……ふっ、全く良い洞察力してやがるぜ。
だから俺は小さく肩をすくめると、誤魔化すために訊いたんだ。
「ところでロコ、何作ってんの?」
丸太を指さし尋ねてみる。すると彼女は腕を組み、笑顔のままでこう答えた。
「これはトーテムポールです! 社長から、劇場の玄関用オブジェを作ってくれって言われました♪」
……ホント、社長もなにを作らせてんだ?
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