松田亜利沙「大好きを繋ぐレスポンス」
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11: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/10/29(日) 23:15:50.73 ID:s1IKgLXf0



「ん、んぅ……ふわぁ…………」

 アイドルソングが設定されたアラームで目を覚ます。そこまでは、いつもの朝。
 視界だけはやけにはっきりして、浮き彫りにされるみたいに寝ぼけたままの身体が重く感じられる。
 ベッドから降りて、二度寝防止で机の上に置かれたスマホまで歩いて行こうとした。だけど。

「ぅ、ぁれ……、っ!? 痛、ぅ……」

 足を滑らせたのか、盛大に転んでしまった。
 机やら椅子やらの角に身体をぶつけたりはしなかったけど、強かに床と激突した身体は当然のように鈍い痛みを訴えてくる。

 なんだかなぁ、と思いながら起き上がると、はらりと白いタオルが床に落ちる。
 あれ、これってもしかして、お風呂上りに髪に巻いていたタオルじゃないだろうか。
 ……つまり、寝落ちした? 律儀に電気を消してアラームもつけて、ベッドで?

 そんなことはないだろう。アラームだけは念のためとセットした覚えがあるけど、それ以外はまったく記憶にない。

「……うわあ」

 一日の始まりから、ダメダメっぷりが露呈してげんなりする。
 そんなに疲れていたんだろうか、ありさは。流れ続けている元気な曲との対比が、やけにむなしかった。

「亜利沙、今日は朝ごはん食べるの遅いね? 顔色もよくないし、体調悪い?」

 ママからそんなことを言われて、そういえばまだ身体が重いなと気づく。自覚してみた途端、少し頭が痛くなってきた気もする。
 嫌な予感に襲われながらも、体温計を戸棚から取り出した。

 ぴぴっ、という電子音にちょっと古めかしいディスプレイへ目を向けると、平熱を二度ほどオーバーした数字が表示されていた。
 起きてすぐの些細な不調に続けて襲ってきた正真正銘の体調不良。
 やるせなさが許容量をオーバーして、ありさは唸り声をあげながら机に突っ伏してしまった。



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