18: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/10/29(日) 23:25:04.87 ID:s1IKgLXf0
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「ぷ、プロデューサーさん……これ、本当にありさのソロ公演ですか!? うぅ、ね、熱気が……」
「もちろん。亜利沙が頑張ったからこその満員御礼だ!」
開演を目前に控えたありさの公演は、舞台裏にも人の気配がはっきりと伝わってくるほどの動員数になっていた。
確かに、空き席が目立ってしまう中での公演は嫌だと思っていたけど、ここまでの成果は想像していなかった。
「オーディションで受けた番組が評判よかったことは知ってますケド……でもでも、流石に緊張しますー!!」
だから、こうやって泣き言を漏らしてしまうのだって仕方がない。
自己を正当化するありさに対して、プロデューサーさんはつれない態度で笑った。
「亜利沙なら大丈夫さ。自分でも、ちゃんとわかってるだろう?」
「うぅー……」
今日はやけにプロデューサーさんが優しくない。
ただ単に土壇場でしり込みしているだけってことをわかっているなら、そんな風に言わなくても励ましてくれたりとか、期待していいと思うのに。
「……ああ、そうだな。俺から言えることは何もない。ありさが見つけたものを、輝かせてくればそれでいいんだ」
「……プロデューサーさん」
ありさの視線から逃げようとするプロデューサーさんに気づく。
……そっか。助言とか、励ましとか、求めるのが筋違いなのだ。
今、ありさが逃げ出さない理由は、ありさが自分で掴んだものだから……少なくとも、プロデューサーさんにはそう見えているはずだから。
弱音を吐いたってプロデューサーさんを不安がらせてしまうだけで、何にもなりはしない。だから、ありさにできる限りのアイドルスマイルを浮かべた。
「『こちらアイドル!』……レスポンスはOKですか? ありさは、いつだって飛べますよー!」
「……ああ! 期待してるからな!」
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