ダイヤ「──とある寶石の誕生日。」
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6: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2018/01/01(月) 00:02:03.01 ID:g5XV3B8Y0


そのような言葉と共に、“あのとき”のことが頭を過ぎって、わたくしは思わず唇を噛んで。


ダイヤ「──ごめんなさい……」


──謝罪の言葉が口を衝く。


果南「……? どしたの、突然」


わたくしからの突然の謝罪に、少しだけ困惑した表情を向けてくる果南さん。

……わたくしは言葉を続ける。


ダイヤ「……鞠莉さんが居なくなったあの1年生の夏──わたくしは心の何処かで、安心していた気がして……」

果南「……ダイヤ」

ダイヤ「同じくらい、一緒に居て欲しい、一緒に居たいという気持ちがあったのに、そんな風に言い出せなかったのは──わたくしの心の何処かにそのような気持ちがあったからではないのか、と」

果南「……」

ダイヤ「貴方に全部言わせて、自分はそれを汲んだのだとでも言わんばかりに……わたくしはいつもそう。そして、これからもそうなのでしょう。」

果南「ダイヤ──」


思わず握りこんでいたわたくしの手を果南さんが自らの両手で優しく包み込んだ。

わたくしは、それを見てから、一度軽く息を吐いて、続ける。


ダイヤ「……だから、今感じている不安も、純粋なルビィを心配する気持ちよりも……ルビィが何処かに行ってしまうのではないか、そのように思ってしまう自分が居て。」

果南「……うん」

ダイヤ「あの子は掛け替えの無い“色”を持っている。だから、わたくしなんか居なくても輝きを見つけて、わたくしよりも眩く光るのではないかと」


言って俯く。


ダイヤ「……もちろん、それは嬉しいことなのです。幸せなことなのです。でも、だから──寂しくて仕様が無い……。わたくしは“透明”だから」


そう、ダイヤモンドは──他の光があって初めて輝く。

金色の髪を靡かせて、弾けるように輝く、あの人や、

とても臆病で、でも真っ直ぐ通った芯を持った、真っ赤な妹や、

太陽のように、輝く笑顔と、光を持ったあのリーダーのような、


ダイヤ「──わたくしは、透明であることを望まれるから──」


旧家の令嬢なんて、神輿もいいところですから。これでいいのです、これで……


果南「……そっか」

ダイヤ「……少し、話しすぎてしまいましたわね」

果南「……ううん、ダイヤの本音、聞けてよかった。話してくれてありがと」

ダイヤ「果南さん……」

果南「強くありたいって気持ちも、黒澤家の期待を背負うダイヤの気概も、だからこそ寂しいって思う気持ちも私は全部知ってるから」

ダイヤ「……はい」

果南「全部否定するつもりもないからさ。それも全部ダイヤだから。」

ダイヤ「ふふ……貴方らしいですわ」

果南「……嫌な話、将来は私も黒澤家のダイヤ様を担いで仕事することになるかもしれないしさ」

ダイヤ「……本当に嫌な話ですわね。」



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