【艦これ】大井「顔、赤いですよ。大丈夫ですか」
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1:名無しNIPPER
2018/01/23(火) 00:53:18.84 ID:Nf6OgZl00

 私がそう言うと、提督は開襟の首元をぱたぱたやりながら、「ここは暑いな」と呟いた。そうだろうか。暖房がついているわけではないのだけれど。

 まぁ、毎日毎日海っぺりで潮風を受け続けているひとだから、気密性の高い部屋が不慣れなのだろう。空気が籠って気温が変化しないつくりになっている、とかく病院とはそういうものだ。
 白い壁に囲まれて、私はベッドの上。ブラウン管のテレビが申し訳程度に据え付けられている。
 海軍付属の病院は基本的に二人一部屋だけれど、私は今一人部屋だった。別に特別扱いというわけではなくて、この前まで相部屋だった娘が、退院していったというだけの話。少ししたらまた誰かがやってくるに違いない。

 私は先ほどまで指先で繰っていた頁でドッグイヤーを作り、結局本を閉じることにした。とはいえ別段未練はない。入院したばかりの頃、時間つぶし目的で購入したものだ。そしてその役目は十分果たしてくれたと言える。
 病院での生活は、嘗ては死を覚悟するほど暇で暇でしょうがなかった。今は私には仲間がいて、ここは比較的都市部に近いから、仲間が行楽の帰りに必ずと言っていいほど顔を見せてくれる。

 五冊買った文庫本は、まだ一冊の半分くらいしか読めていない。



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