10:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 06:13:14.55 ID:RpqNEFizo
心臓だけがはっきりと脈打つのを自覚するが、しかし体は当然冷えていた。
きっと、それは私だけではなかったのだろう。
「早くオフィスに戻って暖まりましょう。ナナ特製の麦茶もまた作っちゃいますね!」
そう言って、足早に階段を降りようとする菜々さんが、つるりと足を滑らせるのが見えた。
世界がスローモーションになる。
彼女に怪我などさせるものかと、とにかく手を伸ばした。
自分がどうなろうと構わないから守らねばと、全身が動いてくれた。
私自身どうしてこんなにも素早く動けたのか分からなかったが、結果的にそれは成功した。
まだ降り始めで、彼我の高さに差がなかったことも良かったのだろう。
自分自身をクッションにして、菜々さんを引き込みながら抱き止めることが出来たようだ。
下敷きになった私は腰をしたたかに打ち付けたが、彼女がそうなるよりは遥かに良い。
15Res/10.32 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20