4:名無しNIPPER[saga]
2018/02/10(土) 12:41:17.08 ID:p6iGZwjEO
ロックを解除すると、杏は飛びつくように助手席に乗り込む。溜め息を吐いてプロデューサーは運転席へと向かった。
ずっと冷えた空間に置かれた車内は外とそう変わらない肌寒さだった。
すぐにキーを回して暖房をつける。ごうごうと音を立てて若干冷たい風の後に、ぬるい空気が吐き出され始めた。
「はー……生き返る心地だよ。やっぱりエアコン・コタツ・ストーブは冬の三種の神器だね」
「そんなに寒がりならなんでこんなとこにいたんだよ。せめて事務所に戻ってくればよかったのに」
「そしたらどうせ『なんで戻ってきたんだ、帰れ』って言うでしょ?」
「まぁ遅くまでいられても困るしな」
「じゃあダメじゃん」
何がダメなんだ、と問い返しても返答は得られそうになかった。
元より時間を浪費することには長けている彼女だ。周りが思うほど、本人は労力とは思っていないかもしれなかった。
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