5:名無しNIPPER[saga]
2018/02/10(土) 12:42:13.19 ID:p6iGZwjEO
エンジンが温まってきたところで、ゆったりと車を発進させる。
杏を乗せたからには最優先で彼女の家まで送り届けねばならない。少し遠回りになるか、とプロデューサーは頭の中で経路の計算を始めた。
「……ほんと、わざわざこんな日に残業なんてご苦労なことだよ。バレンタインデーだってのに、用事の一つもないわけ?」
「バレンタイン……? あぁ、今日は十四日だったか……だからみんなやけに帰りが早かったのか。謎が解けたわ」
「げっ、今の今まで気付いてなかったのかよ。はーやだやだ、非モテは世間の流行にも疎いんだもんねぇ」
「散々言ってくれるな……それを言うならお前だって同じじゃねーか。そんな日に無駄に時間使って、相手がいませんって自白してるようなもんだぞ」
「今の問題発言でしょ。アイドルに色恋沙汰はご法度なんじゃないの?」
「かもな。でも俺に言わせりゃ、きちんと隠し通せるなら何したって文句はねえよ。リスク管理として、相手を作らないのが一番確実だってだけの話さ」
「ふーん……ま、杏は確固たる目的があって待ってたわけだから。無駄じゃありませーん」
「俺にこうして家まで送らせることがか? そりゃ大層な目的だ」
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