高垣楓「君の名は!」P「はい?」
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23: ◆PL.V193blo[sage]
2018/04/18(水) 23:18:28.53 ID:hD9nuK1M0

『――――ばかっ』

『なんで自分の事をそんなに粗末にしちゃうんです、どうして自分を大切にしてくれないんですか』

『約束してください、二度と身を削るような無茶はしないで。あなたが私の為に傷付いてしまうのなら、何の意味も無いんです』

……本当に普段、一緒にいるあの穏やかな楓さんなのか、と。思わず気圧されたくらい、すごい迫力だった。
思い出している間にもうひとつ、プシュッと開けて、楓さんは銀色の缶を僕に差し出す。

「女性を泣かせたのに行動を改めないなんて、私はプロデューサーをそんな子に育てた覚えはありませんよ?」
「ぐっ……」
「プロデューサー君は、約束を守れる素敵な子ですね?」

ああ、もう、色々言い返したいけど言い返せねぇ。

「……それとも、私と二人きりじゃお嫌でしたか?」

ひとしきり僕を責めた後に、オッドアイが、少ししゅんとしたように笑った。
……彼女は結局、僕より一枚上手なんだな、と、こういうときに実感するのだ。
この上でそんな顔されたら、ぼくはもう、文句なんて言えないじゃないですか。

「……生中一丁乾杯」
「……乾杯♪」

缶同士がタッチする、少し間抜けな音がした。
お疲れ様です、も、文字通り乾杯、も。
ありがとう、も、どういたしまして、も。心配かけてごめんなさい、も、わかってくれればいいんですよ、も。
……嫌なワケがないでしょ、も。
僕たちの間では、アロハくらいたった一言でいろんな意味が表せる、それはそれは便利な言葉だ。


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