高垣楓「君の名は!」P「はい?」
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4: ◆PL.V193blo[sage]
2018/04/18(水) 18:34:31.05 ID:hD9nuK1M0
「――――――信じませんね。僕は、信じません」

わりとはっきり、言ったかもしれない。
その時、彼女はどんな顔をしただろうか。

「二度目、三度目があるなんて考えたら、きっと甘えちゃいますから。生きてる間の事は、生きてるうちになんとかしなきゃ駄目だと思います。万事、後がないと思って臨むのみです」
「……なんか」

ぱちくり、と、大きな瞬きをした。

「お侍さんみたいですね、Pさん」
「へ?」
「ちょっと“弾正じゃ、弾正久秀の仕業じゃあ”って言ってみてください」
「うるっせえですよ高垣」
「“謀ったか三郎右衛門尉”でもいいので」
「クーデターですか? 僕クーデターされんの?」

なんでそんな腹黒いやつばかりなんですか。
こないだ楓さんの出演した時代劇、江戸時代の話じゃないでしたっけ。そいつら戦国の謀将なんですけど。

「私は……信じたいですね」

ひとしきり僕をからかったあと、おもむろに言う。

「信じたいです。縁えにしがあるということ」
「そう、ですか」

にっこりと、笑う。
それをみたら、僕も笑うしかなかった。

(……貴方に逢えました、か)

そりゃあこっちの台詞です、なんて。
言わないですけどね。

「あ、そうだ」

一瞬の沈黙ののちに、ポン、と楓さんは両手を叩いた。

「お侍さんと言えば、私の地元に侍神社ってあるんですけど、その近くに隠れ温泉が有ってですね」
「へえ」
「明日はオフですよね」
「そうですね」
「そこで一日のんびり過ごすというのはいかがでしょう」
「ああ、いいんじゃないですか? 久しぶりにご実家や地元の友人とも会ってきては」
「あら……いきなり実家へごあいさつ下さるなんて、気が早いですね、プロデューサー♪」
「え?」
「私、電車と温泉の予約しておきますので、荷造り、しておいてくださいねっ」
「……え、ちょっと待って下さい!? 僕も行く流れなんですかコレ!?」
「……?」
「いや意味わかんないみたいな小首かしげないで! ていうか、私明日仕事! 聞いてますか楓さん? 楓さーん!?」


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