8: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2018/04/26(木) 20:06:37.45 ID:zmYsrQkn0
曙は半分の端を口の中で噛み、シャーベット状になった中身を絞り出す。しゃりしゃりと聞くだけで涼しくなる音が曙の口内から響いてきた。
手渡された半分に対して俺は所在なさげだ。色々な疑問が脳内を駆け巡って、そしてそのすべてに対して回答できないでいる。ただひとつ、アイスと触れている肌の冷たさだけが厳然たる事実だった。
アイスを見て、曙を見る。
「いいのか?」
「うん。全部はちょっと多いし」
じゃあなんで買ったんだ?
……そんな疑問を口にするより、まず言わなければならないことがあった。
「ありがとう」
「別に」
そっけない返事だった。視線を逸らされる。が、しゃりしゃりという音だけは響いている。
俺もあわせて先端を口に咥えた。噛んで、中身を絞り出す。
冷たさの塊が染み渡る。頭へ痛みを伴って、だがそれもまた、心地よい。
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