巌窟王「これは、嘘で世界を変える物語だ」 アンジー「あなたの名前は――」
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612:アンジーとあなたのための物語  ◆SxyAboWqdc[saga]
2020/02/01(土) 10:09:35.49 ID:c/mEDpnF0
「……もう!」


なにもかも失って、それでも最後に残ったものが一つだけあった。

それは怒り。そうだ。これは元々、自分の中に無かったものだ。

誰かに教えられて獲得したもの……違う。

誰かに『お前の中に確かにあるのだ』と教えられて気付いたものだ。




凄く腹が立ってきたぞ。もうどうでもいい。疲れた。辛い。イヤになった。

もう二度と会えなくなっても知らない。

ここまでやってあげた自分と会える権利を、みすみす手放した彼が悪いのだ。

もう倒れよう。そして呪おう。超眠いし。



お前は永遠に独りぼっちだ、ばーかーめー! にゃははははははは!



そうしてやっと、自分の両足から力を抜いて――



「……?」



誰かに受け止められた。


「……!」


アンジーを受け止めた、誰かがいる。





巌窟王「……まったく。とんでもないナリだな、アンジー」

アンジー「あ……」


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