長富蓮実「ザ・ラストガール」
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5:名無しNIPPER[saga]
2018/12/14(金) 23:08:21.23 ID:wXX+fiS7o
 
母が観客で、私がアイドル。
二人だけのコンサートを母は毎回にこやかに見守り、最後にはいっぱいの拍手をくれました。
私は気をよくしてその都度「おおきくなったらセイコちゃんみたいなアイドルになる!」と自慢げに話していたとか。
母が用事でいないときも、私は押し入れからお気に入りのぬいぐるみや人形を引っ張り出して、周りに並べて、私だけのコンサートを開いたりもしていました。

そんな思い出が、アイドルを志すようになった理由かと聞かれれば、本当のところはよく分かりません。
ただ、最初のきっかけであることに間違いはないと思います。

かつてTVを華やかに彩っていた名だたるアイドルたち……
舞台の中央に一人佇み、一筋のスポットライトに眩しく照らされ、
他の誰にも出しえないオーラを放つ特別な存在に、少しでも近づいてみたい。
伝説とまで言われた彼女たちが、侵しえないたった一つの場所からどんな風に世界を見ていたのか、その1%でも共有してみたい。
もちろんこれは、今となってはそんな説明ができるというだけで、
実際にそこまで考えていたわけではないのですが。

まして、その思いは小さな子供が漠然と抱くような、単なる憧れでしかありません。
「セーラームーンになりたい」とか、「ウルトラマンになりたい」といったような、
夢見る子供の何の気もないお話に過ぎないふんわりとした願望は、誰もとがめず、しかし叶えず。
普通は大人になるにつれ、自然と忘れていくものです。


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