長富蓮実「ザ・ラストガール」
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6:名無しNIPPER[saga]
2018/12/14(金) 23:09:57.17 ID:wXX+fiS7o
 
――――――

先ほどのように、私の好みが「古くさい」の一言で片付けられるのは、今に始まったことではありませんし、特に驚きもしません。

小学校の友達は、大きくなるにつれ少しずつ流行の音楽に興味を持ち始めます。
子供は辛辣で、そういう最新の音楽以外は「ダサい」の一言です。
私自身、母から聴かされた曲以外の音楽に詳しいわけではありませんでしたし、反対に特に自分からアイドルソングの趣味について語ったこともありませんが、
それでもこの間までクラスのみんながしきりに「これ大好き!」などと話していたもののことを、ほんのしばらくするとたちまち話題にしなくなっていく前では、
昔の曲ばかりが好きで子供のころからずっと聴き続けている、とはなかなか言い出せません。
時折ラジオやテレビで「昭和ヒットソング特集」なんてものが取り上げられた日には、
心は躍るものの、ふとよぎります。

  ―――私は周りから置いていかれているのでは?

少しずつ、友達と話が合わなくなっていくような気がしました。
それは趣味の内容に限った話ではなく、考え方、受け止め方、ふとした仕草、ファッションの感覚、
普段は何気なく過ごしていても、一度気になりだすとどれをとっても「私は人とは違うのでは……」と不安がよぎります。

もちろん、友達とは仲良く過ごせましたし、その頃の生活が楽しくなかったわけでは断じてありません。
幸いにも私の周りには、私の古くさい趣味をバカにするような人はいませんでした。
カミングアウトしたわけでもないので、当然といえば当然ですが。

今時の音楽に全く興味がないわけではなかったので、友達に勧められた、人気のロックバンドやポップス歌手のアルバムを聴いてみたりしたこともあります。
その当時は、友達を話を合わせるために半ば仕方なく始めたことではあったものの、なるほど最新の曲にもそれぞれの良さがあることに気づかされました。
いい曲はたくさんありましたし、新しいお気に入りの曲もいくつかは見つかりました。

けれど、やっぱり私の心の中にあるのは……みんなが好む新しい曲にはない良さをたくさん含んだ、往年のアイドルソングでした。


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