“らしくない私たち” に 祝福と喝采を
1- 20
2:名無しNIPPER[saga]
2019/07/01(月) 22:52:01.65 ID:j/IZGaDe0

───────────────────side:春日 未来

「はぁぁ〜〜……」

 今日だけで何回目だろ……大きな大きなため息が口から出ていった。夜の街の空気に溶けていった──って、百合子だったら言うのかな。ううん、もうちょっと難しい言い方をしそうな気もする。

 でも、私にはできない。

「はぁ、今日もまたいっぱいおこられちゃったなぁ……プロデューサーさん、色んな人にいっぱいあやまってた」

 私──春日未来は今、765プロライブシアターの屋上に来てる。
美咲さんに頼んで『三十分だけだよ、ナイショだからね』って鍵を開けてもらって。ここから見える夜の灯りはまるでステージから見えるサイリウムみたいで──本当にステージに立ってるような気分になれる、お気に入りの場所だから。
 ここで一曲歌でも歌えば、それだけでイヤ〜な事なんて全部吹き飛んじゃう。プリンセス公演の合宿で見つけた、元気の出るおまじない──私だけの、ヒミツのおまじない。

 だけど……やっぱりダメだ。今日は全然、いつまで経ったって“あの失敗”は消えてくれない。でーん、と頭の真ん中にずっと居座ってる。

「はぁ〜ぁ〜……」

 またため息だ……あごを載せてる手すりは、もうすっかりぬるくなっちゃった。最初はひんやりしてて気持ち良かったのになぁ……。

「やっぱりアイドルに向いてないのかなぁ……」

 ポロッて思わずこぼれた言葉に、自分でもびっくりした。びっくりした……けど、誰もいないし、いいよね。ちょっとくらい弱気になっても、いいよね。だって……今は一人っきりだもん。

「はぁぁ〜……」

 後一回、これで最後。このため息でイヤな事全部追い出して、いつもの私に戻るんだ──なんて、ずっと思ってる。でも思ってるだけなんだ。こんな私を見たら、翼は何て言うのかな……静香ちゃんだったら、何て言うのかな。わかんない……私にはわかんないよ……。

「はぁぁぁ〜〜……」

「──未来、ここにいたのね」

 結局またもう一回しちゃって、私って本当にダメだなぁ……そう思った時、後ろから声が届いた。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
48Res/49.96 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice