魔王「まずはいちご100%からだな」側近「随分と懐かしい作品ですね」
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12:名無しNIPPER[sage saga]
2019/08/21(水) 21:30:00.64 ID:UnLhG+kGO
「ほう? 私の力が効かぬか」

勇者は動じなかった。ただ静かに佇んでいる。

「随分とレベルを上げたようだな」

この勇者には見覚えがある。
というか、誰もが知っている有名人だ。
持たざる者と呼ばれし、最弱のプレイヤー。
誰しもゲーム開始時にひとつ与えられるユニークスキルを持って生まれなかった、異端児。

此奴は弱かった。誰よりも何よりも弱かった。
しかし洗礼たる負けイベントで泣かなかった。
歯を食いしばって、こちらを睨みつけていた。

あの日のことがまるで昨日のようだった。
あの瞬間に、私は最弱の勇者に恋をした。
その相手が最期の敵であって嬉しかった。

「む? 剣も抜かずに何を……?」

勇者は黙したまま、歩き出した。
剣を抜かず、構えず、徒手空拳のまま。
静かにゆっくりとこちらに近づいてくる。

「死にたいのか?」

便意操作が効かずとも、私は大魔王だ。
手刀だけでも首を断つことは出来る。
しかし、最弱の勇者が纏う異様な雰囲気が気になり、首を刎ねるのを躊躇した。

いや、正直に言おう。
気圧され、動けなかったのだ。
そして勇者は、おもむろに、私の腹に触れた。

「っ……!?」

ぎゅるるるるるるるるるるるるるるるぅ〜っ!

その瞬間、この世界で初めて、便意を感じて。
この勇者が私と似た力を有していると気づき。
宿便を呼び起こされ、宿敵であると認識した。


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