呆れメロス
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4:名無しNIPPER[saga]
2019/12/06(金) 23:00:16.60 ID:o9kFpOMF0

「ただ、私に情をかけたいつもりなら、処刑までに三日間の日限を与えて下さい。たった一人の妹に、おまえが亭主にしたい男はろくな奴じゃないよ、と伝えてやりたいのです。三日のうちに、私は妹が好きな男の弱みを握って、それをネットに公開して炎上させ、必ず、ここへ帰って来ます」

「ばかな」と暴君は、しわがれた声で低く笑った。

「とんでもない嘘を言うわい。逃がした小鳥が帰って来るというのか」

「そうです。帰って来るのです」

メロスは必死で言い張った。

「私は約束を守ります。私を、三日間だけ許して下さい。妹が、私の帰りを待っているのだ。そんなに私を信じられないならば、よろしい、私のフォロワーにセリヌンティウスという石工がいます。私の無二のヲタク友人だ。あれを、人質として用意しよう。私が逃げてしまって、三日目の日暮まで、このグルチャに私が帰って来なかったり、Twitterアカ自体を消去していたら、あの友人の石工職場に『セリヌンティウスは隠れ超アニヲタで、リョナ好きで想像で推しをいつも傷つけて興奮しているし、普段は会社の上司の文句ばっかを呟いてるし、本当に最低人間ですよ』と連絡して仕事やめさせて下さい。たのむ、そうして下さい」

それを聞いて王は、メロスの残虐な発案に(こいつほんまクズやな)と思いながら、そっとほくそえんだ。

生意気なことを言うわい。どうせアカ消しして逃げるにきまっている。

この嘘つきに騙された振りして、放してやるのも面白い。そうして身代りの男を、三日目に(職場で)殺してやる。

……いやでも、ぶっちゃけ身代わりの男はなんも罪ないし、メロスを今の内に弁護士通じてIP照会して身分を把握して、なんにしても世間的に殺した方がええわ。

人は、これだから信じられぬと、わしは悲しい顔して、その身代りの男に刑を処すフリだけ見せて、メロスを殺すのだ。

世の中の、なろう作家というだけで訳も分からず批判する者たちに、うんと見せつけてやりたいものさ。

「願いを、聞いた。その身代りをグルチャに呼ぶがよい。三日目には日没までに帰って来い。おくれたら、その身代りを、必ず(職場で働けないように)殺すぞ。……ちょっとおくれて来るがいい。おまえの罪は、永遠にゆるしてやろうぞ」

「なに、何をおっしゃる」

「はは。いのちが大事だったら、おくれて来い。おまえの心は、わかっているぞ」

メロスはそこまで口惜しくなかったが、自分が逃げ切れるかちょっと心配になって地団駄踏んだ。ものも言いたくなくなった。



竹馬の友、セリヌンティウスは、夜に、グルチャに召された。

暴君ディオニスの面前で、良き友だとはメロスだけが勝手に思ってる関係の二人は、二年ぶりで相逢うた。

メロスは、友に一切の事情を語った。

セリヌンティウスからは「おまえさぁ……」と呆れられ、メロスをひどく罵った。

メロス的には、友と友の間は、それでよかった。でもセリヌンティウスとしては、マジで意味がわからなかった。




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