小日向美穂「グッバイ、ネヴァーランド」
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4: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 00:17:06.28 ID:nY0iWbpOO
「あ、食べてもスイカの皮は捨てないでくださいね! 胡麻和えにしたら結構美味しいんですよ。晩ご飯のおかずに使いますよ!」

「へぇ、そうなんだね。さすが響子ちゃん」

「せっかくですし、写真撮りませんか?」

「わっ! 真鯛が息を吹き返したであります!」

「きゃあ!」

 やいのやいのとスイカを食べながら藍子のカメラでパシャリ。毎日撮っている写真はこれで20枚目くらいだろうか。一

 昨日はみんなで雪だるま大会を開いて、昨日は梅の花の下で写真を撮った。明日は何があるのかは分からないけど、言えることは1つ。全てがでたらめな小さなこの世界においては、過去から未来へと流れる時間なんてハナっから存在しない。

 そもそも1秒1分1時間1日と細かく均等に刻まれた時間なんてものは、俺たち人間が勝手に決めつけたものなんじゃないかとすら思ってしまう。だとすれば、そいつはいい加減なものだ。なんせ人間それ自体がいい加減ででたらめな存在なんだから。我ながら不釣り合いなまでに哲学的なセリフが浮かんできて自嘲気味に笑ってしまう。

 カレンダーを何回めくろうとも12月15日が続き、目が醒めればまた新しい12月15日が始まる。増えていく写真には気まぐれなほどに色とりどりの季節と俺たち。そんな異常事態でも何一つ不満すら抱かないようなネヴァーランド。俺たちは今、そこに囚われていた。



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