13: ◆u/54BSBlPw[sage saga]
2020/02/08(土) 19:43:11.30 ID:RvB9VQpu0
「嫌な方向に吹っ切れましたね。
僕には、白石さんが今回の公演にそこまで拘る理由が分かりません」
紬さんは口をつぐんで、ただ立っている。
「僕は、あなたの視界がいかに難しい状況か体感することができません。
ただ、目の前に2人以上の人間が立っただけでも、あなたが混乱してしまうことは知っています」
私という部外者がいる状況で、仕掛け人さまは平然と紬さんの困難を明かした。
だから、私はひとりで病室に入ることになっていたのだ。
「それは過去の話です。今の私は、この劇場にいます。
心配性の母に手を引かれてのことですが、人が行き交う街中を、歩いて、ここに辿り着いたのです」
紬さんの声は少し誇らしげだったけれど、
やはりどこか必死に諭すような響きがあって、だから、私は──。
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