40: ◆u/54BSBlPw[sage saga]
2020/02/08(土) 21:19:21.20 ID:RvB9VQpu0
「少し、寄り道していきませんか」
私の思い付きのような言葉に、紬さんは迷わず頷いてくれた。
手を引いて歩く。ちらりと振り返って、紬さんはちゃんとこちらを見ていたけれど、
その瞳が本当は何を映しているのか、私には想像もつかない。
当てもなく歩いて、紬さんを身勝手に巻き込んでしまって、辿り着いたのは小さな公園だった。
どちらともなく、木製の長椅子に腰掛けて、風の音がひゅうと鳴ったのを合図に、私は口を開いた。
感謝から切り出そうと思っていたのに、言葉になったのはどこか遠回りな問いかけだった。
「私と紬さんは、似ているとは思いませんか」
いっそ自分のことばにできたら良かった。
でもそれはなんだか後ろめたくて、何より私にはまだ勇気が足りなかった。
だから、言い訳のように付け足すのだ。
「仕掛け人さまがおっしゃったことです。私は腑に落ちたのですが、紬さんはどう思われますか?」
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