【鬼滅の刃】プロポーズ【ぎゆしの】
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3:名無しNIPPER
2020/03/25(水) 21:10:33.77 ID:LYKLrGhZO
「せっかくこうして出会えた私たちだけれど、別れはいつやってくるかわからない。今日かもしれないし、明日かもしれない。実際はもっと先かも知れないけれど、自分の想いはきちんと伝えた方がいいね」

 だって、気持ちを伝えないまま別れてしまうのはあんまりだろう。と続けた御館様の言葉に納得はした。


4:名無しNIPPER
2020/03/25(水) 21:11:04.90 ID:LYKLrGhZO
けれど、それが親愛や友愛ならばともかく、男女の仲となるとやはり俺には言えないな、とそんなことを考えていた自分に御館様は、
「そんな義勇には、こんな言い方もあるんだよ…」
と別の言い方を教えてくださった。


5:名無しNIPPER
2020/03/25(水) 21:11:36.55 ID:LYKLrGhZO
「カアアアーーーッ死亡??胡蝶シノブ死亡??上弦ノ弐ト格闘ノ末死亡ーーーーッ??」

 そんな話を義勇が思い出したのは、こともあろうに最終決戦で、胡蝶しのぶの訃報を聞いた時だった。動揺する炭治郎を叱責しながら、義勇は
(胡蝶は想いを伝えきることができたのだろうか)
と少しだけ考えを巡らせる。


6:名無しNIPPER
2020/03/25(水) 21:12:05.47 ID:LYKLrGhZO
 自分と異なり、人当たりの良かった彼女だ。大切な人も多かっただろう。蝶屋敷の面々にはきちんと別れを告げられたのだろうか。あれだけの器量だ。恋仲の男が居てもおかしくはない。そんな相手がいたのならば、想いを伝えられたのだろうか。



7:名無しNIPPER
2020/03/25(水) 21:12:32.90 ID:LYKLrGhZO
(やめよう)

考えても仕方がないことだ。死んでいった胡蝶の分も、自分は鬼を斬らなければならない。しかしなぜだろう。彼女のことが頭から離れない。心にモヤモヤと雲がかかる。胡蝶に惚れた相手がいようと関係のない話だ。


8:名無しNIPPER
2020/03/25(水) 21:13:04.66 ID:LYKLrGhZO
自分はたしかに、歳下ながら世話をやいてくれる彼女のことを憎からず思っていたけれど、それだけだ。自分が彼女のような努力家に見合うなどと思ったこともない。考えたって仕方なのないことなのだ。このままでは任務に支障が出る。何か別のことを考えなければ…
 そういえば、結局御館様は『I love you』をなんと訳したのだったか…。


9:名無しNIPPER
2020/03/25(水) 21:13:33.30 ID:LYKLrGhZO
「月が綺麗ですね」

 そうだ。確かそんな訳し方があるのだと御館様は教えてくださった。どこぞの文豪が、日本男児はそんなことは言わない。そんなものは『月が綺麗ですね』とでも訳しておけと言ったことが始まりだとか、そんな話をしていたのを覚えている。けれど、俺の脳内に響いたのは御館様の声ではなく、鈴を転がすような胡蝶の声だった。


10:名無しNIPPER
2020/03/25(水) 21:14:05.04 ID:LYKLrGhZO
 あれはたしか、那田蜘蛛山だった。そうか、あの時お前はちゃんと言ってくれたんだな。
 俺でいいのかと、確認することだって今となってはできやしない。俺はあの時なんと答えたのだったか。多分俺のことだから、任務に関係がないと斬り捨ててしまったのだろう。それからも変わらず接してくれた胡蝶の器の大きさに感謝しなければならない。



11:名無しNIPPER
2020/03/25(水) 21:14:37.16 ID:LYKLrGhZO
「炭治郎??」

 目の前に鬼が現れた。どうやら上弦の鬼のようだ。纏っている雰囲気が違う。なぁ、胡蝶。今から返事をしても間に合うだろうか。もうお前は死んでしまったけれど、もしも次の世界で出会えたなら…その時には、俺が鬼なんていない未来を作るから…他でもないお前のために…そうだ、たしかあの言葉に対する返事は…


12:名無しNIPPER
2020/03/25(水) 21:15:03.46 ID:LYKLrGhZO
 それから義勇は力を得る代わりに寿命を削る痣を発現させた。傷は熱した刀で焼いて塞いだ。無惨との戦いでは利腕をもぎ取られてもなお戦った。その姿を見ていた隠曰く

「死のうとしているのかと思った」

とまで言われるほどだった。
以下略 AAS



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