もしもし、そこの加蓮さん。
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22:名無しNIPPER[saga]
2020/04/26(日) 22:46:20.28 ID:DTyxDqAB0

 ◇ ◇ ◆

もう百二十分も経ったのか。

思わず腕時計を確認してしまいそうなくらい良質な、息詰まるサスペンスでした。
エンドロールの一行目が浮き上がってきて、加蓮は知らず肩に入っていた力を抜きました。
そしていつものように目を閉じ、密やかな物音や会話に耳を澄ませます。


映画を観る人は二種類に分けられます。
即ち、エンドロールを見届けるか、否か。

彼女は後者でした。
いえ、目は閉じていますから、見届けてはいないのかもしれませんが、ともかく。

エンドロールの流れるこの時間は加蓮のお気に入りでした。
日常に帰るまでのほんの刹那。
名も顔も知れぬ同好の士に語らずとも別れを告げ、
ゆっくりと北条加蓮を取り戻していく時間が。

薄く目を開けるとエグゼクティブプロデューサーの文字が踊っていて、
どうやらあと数十秒で幕切れのようです。


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