もしもし、そこの加蓮さん。
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4:名無しNIPPER[saga]
2020/04/25(土) 19:30:18.30 ID:63FTC/uF0

第一、加蓮はひとり遊びの奥深さをよく心得ていたのです。

入院の度にカードを買い直すのも大変だからと、
サイドテーブルには持ち込みを認めてもらった携帯型テレビがイヤホン付きで置いてあります。
作り付けのキャビネットの中には、ローティーン向けのファッション雑誌に、
母から譲ってもらったヘアブラシ。
お小遣いを貯めてようやく買えた、小学生が使うにしては驚くほど上等なネイル用品一式。

それから――大量の本。


今日の加蓮は爪をお手入れしたい気分のようでした。
エタノールを吸わせたガーゼでささくれや甘皮を取り除いた後、
一本ずつ丁寧にヤスリで爪を整えていきます。

何せ時間ならたっぷりと有りますから、それはもう丁寧な仕事そのものです。
再び爪を綺麗に拭き上げ、ベースコートをぺたり、ぺたり。


さて、ここからが本番です。
一つ深呼吸をして、縁取りを意識しながらカラーを。
しっかりと、しかし素早く真っ直ぐに。

右手の親指まで全て塗り終えたら、最後の仕上げのトップコート。
ちょっときらきらし過ぎかな、と加蓮自身思ったりしないでもない、薄いラメ入りのものです。

再び丁寧な仕事を繰り返して、小さなネイリストは鼻を鳴らします。
まだしばらく乾燥させなければいけませんが、ひとまずの完成を誇るように、
彼女は両手をまっすぐ前へ伸ばしました。


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