ナナチ「ちょっと席を外すぜ」ボンドルド「おやおや……うんちですか?」
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2:名無しNIPPER[sage saga]
2020/05/06(水) 21:51:24.45 ID:cyYcc38fO
「なあ、ボンドルド」
「はい。なんですか?」
「あんたは白笛なんだろ?」
「ええ。ひとは私を『黎明卿』と呼びます』

黎明卿。新しき、ボンドルド。
笛の色でランク分けされている探窟家の中でも最高峰の『白笛』所持者である仮面の男。
こいつがオイラをスラムから連れてきた。
しかも、ずっと憧れていた、アビスへと。
今でもそのことだけは感謝してる。

「やっぱめちゃくちゃつえーのか?」
「いえいえ。とんでもありません。殲滅卿や不動卿には敵いません。私は恐らく、白笛の中ではもっとも弱い部類と言えましょう」
「なんだよえーのか。それなのにどうやって白笛になったんだ? まさか盗んだのか?」
「まさか。この白笛は特別製なので、ひとのものを盗んだところで意味はありません」
「ふーん。よくわかんねーけどすげーな」

ボンドルドは変わった奴だった。
白笛の探窟家として地位も金も名誉もある。
それなのにオイラみたいな薄汚いガキ相手でも敬語で話す、おかしな奴だ。
偉いんだろうけど、全然偉ぶらない。
金持ちや権力者特有の自己顕示欲がない。
たぶんどんだけ馬鹿にされてもけろっとして、気にもしないのだと思う。

「探窟家には必要最低限の力さえあればそれでいいのですよ。あくまで目指すのはアビスの最深部であり、そこに到達する過程において不必要なものは何もかも全ていらないと言っても過言ではありません」

当時のオイラはその意味がわからなかった。


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