1: ◆H5MbwxPKRo
2020/05/16(土) 16:50:19.81 ID:5z9OpdEU0
対魔忍RPGイベント「まりの大冒険」の後日談
※元ネタ一覧
「剣客商売 金貸し幸右衛門」
「TOUGTH 龍を継ぐ男」
「喧嘩稼業」
その他もろもろ
※バトルシーン等で軽い欠損描写あり
SSWiki : ss.vip2ch.com
2: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 16:53:39.71 ID:5z9OpdEU0
トリップ初めてだったけどちゃんと表示されて安心した
次スレから投下開始します
コモドドラゴンを放てっ
3: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 16:55:58.17 ID:5z9OpdEU0
首都圏有数の犯罪都市、センザキ――
かつて東京のベッドタウンとして栄えた頃の面影はもはや無く、数々の犯罪組織や魔界の住人たちがひしめき合う闇の繁華街――
そんな街の通りを、臆するそぶりもなく歩く一人の少女の姿があった。
4: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 16:57:15.70 ID:5z9OpdEU0
「久しぶりだなあ…もうあれから1年になるのかあ…」
対魔忍・篠原まり。
五車学園に通う学生対魔忍だ。
5: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 16:58:29.86 ID:5z9OpdEU0
(いろいろあったなあ…魔人さんに出会って…紅さんに出会って…オークさん達にもお世話になって……ふふっ)
1年前、彼女は任務の帰りにある事件に巻き込まれ、偶然知り合った流浪の対魔忍『心願寺紅』と手を組みこれを解決した。
五車では“本の魔人事件”として記録されているこの騒動、表向きはまり一人の手柄とされているが、実際は紅の協力無くしては解決できなかった事件であった、。
6: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 16:59:28.74 ID:5z9OpdEU0
(プライベートでセンザキに来るのは初めてだけど…まずは、あのときの酒場に行ってみようかな…オークさん達にはちゃんとお礼できてなかったし…紅さんにも、会えるかもしれないし…)
1年前はおっかなびっくり歩いた道を、迷いなく進んでいくまり。
“本の魔人事件”、そしてこの1年で積んだ修練の数々が、確実に彼女を成長させていることが見て取れた。
7: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:00:13.09 ID:5z9OpdEU0
――
――――
――――――
8: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:01:14.33 ID:5z9OpdEU0
「あれ…?」
酒場への道を急ぐまりの目に、見慣れない光景が飛び込んできた。
荷台に屋根と調理場を設け、暖簾を下げた古風なリヤカー…。今や珍しい、移動式の屋台だ。
9: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:02:00.20 ID:5z9OpdEU0
どうやら店主らしい男が何度も頭を下げ、客がそんなことにはおかまいなしで怒鳴りつけているらしい。
「だから酒を出せってんだろうが、えーーーつ!?」
「すみませんが、何度も申し上げました通り今日はもう店じまいでして…」
10: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:02:35.37 ID:5z9OpdEU0
ああ…あのお客さん酔いすぎだよ…全然お店の人の話聞いてないし…)
(そういえば、去年魔人さんに出会った時もこんなシチュエーションだったなあ…)
少し懐かしい気持ちが沸くが、ともかく黙って見過ごすことはできない。
11: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:03:30.09 ID:5z9OpdEU0
「あのぅ…そのくらいにしませんか…?」
「おーん?なんだあテメェ…?」
「お店の人、今日はもう閉店だって言ってるじゃないですか…別にお客さんのことがどうとかじゃなくて…とりあえずまずは落ち着いて…」
12: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:04:29.00 ID:5z9OpdEU0
「はうっ」
酔っ払いがまりを突き飛ばす。
不意を突かれたまりが後ろ向きに倒れる。
13: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:05:47.24 ID:5z9OpdEU0
――かに思われたが、何者かがその背中を受け止め、優しく声をかけた。
「まったく、相変わらず揉め事に首を突っ込むのが好きなようだな、君は」
それは、まりがよく知った声であった。
14: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:06:25.50 ID:5z9OpdEU0
「紅さん!」
「久しぶりだな、まり。春の任務以来か」
まりを支えた女性――心願寺紅がまりに微笑みかけた。
15: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:07:16.94 ID:5z9OpdEU0
「すまないが、店主はこの後私と約束があるんだ。今日は別の店に行ってくれないか」
「何度も言わせるなってんだろ!俺は九龍会だぞ!?俺が酒を出せって言ったら出すんだよえーっ!」
「九龍会?…ああ、お前あそこの構成員なのか。あのシフォンとかいう女のいる…」
16: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:07:48.59 ID:5z9OpdEU0
ビシッ。
「痛ぅっ!?」
――が、瞬く間に紅の鋭い手刀で弾き飛ばされてしまった。
17: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:08:50.47 ID:5z9OpdEU0
「本の魔人を取り逃がしてからは大人しくアミダハラに帰ったと思っていたが…またセンザキに出しゃばってきているのか。ご苦労なことだな」
「ほ、本の魔人だあ…?テメェなんでそんな古い話を知って…る…」
手刀を食らった痛みが酔いを中和したのか、焦点の定まらなかった男の目がようやく紅をはっきりと見据えた。
18: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:09:53.84 ID:5z9OpdEU0
「おまっ…対魔忍………あのときの…」
「なんだお前、あのとき私にのされた連中の一人か」
ずい、と紅が前に歩み出る。酔っ払いは素早く後ずさる。
19: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:10:38.61 ID:5z9OpdEU0
「あのぅ…」
まりが男になにかを差し出した。
「?」
20: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:11:25.39 ID:5z9OpdEU0
まりが差し出したのは先ほど男の手から弾かれた銃…だったはずなのだが、重心がぐにゃぐにゃに曲げられて“ひねり揚げ”のようになってしまっていた。
まりが素手でねじってしまったのだ。
「ひーーっ!!!!」
21: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:12:09.81 ID:5z9OpdEU0
「やるじゃないか。随分気の利いたあしらい方を覚えたな」
「い、いえ、そんな大したことじゃ…えへへ…」
まりが赤面する。“本の魔人事件”以来、紅はまりにとって最も尊敬する対魔忍の一人だ。
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