ロード・エルメロイU世「最初からそれがお望みだろう、レディ?」
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11:名無しNIPPER[sage saga]
2020/06/15(月) 22:57:20.99 ID:uimHEu7hO
「初めて会った頃より、随分伸びたな」
「我が兄はおかっぱ頭のほうが好みかね?」
「正直、めちゃくちゃ可愛かった」
「そ、そうか……じゃあ、切ろうかな」
「何故だ? 勿体ない。魔術師の髪は魔力を宿す優れた触媒だ。なるべく大切にしたまえ」
「むぅ……ふん。君に言われなくともそうするさ。いずれエルメロイの当主の座に着いた時に相応しいよう、私なりに努力している」

ロード・エルメロイU世はあくまで繋ぎ。
成人した暁には、私がロードを名乗る。
その際に侮られぬよう、自分を磨いている。

「君はきっと、偉大なロードになるだろう」
「その根拠は?」
「君は先代のケイネス先生よりも、他者に共感出来る人間だ。私はそれが人の上に立つ君主に必要不可欠な資質であると考えている」

私の髪を撫でながら、義兄は在り方を諭す。

「王とは、孤高にあらず」
「イスカンダルの言葉かね?」
「ああ、あいつはそう言っていた」

征服王、イスカンダル。
その昔、ほぼ世界全てを侵略した覇王。
短い生涯の中で戦わぬ日はほとんどなく。
かの王は、誰よりも戦列に生きた。

「私が自らに課した役目は、君をあいつに匹敵するほどの君主に育てあげることだ」
「私を? 自分自身ではなく?」
「私は王の器ではない」

そんなことはないと思う。
ロード・エルメロイU世は時計塔随一の教師であり、彼を慕う優秀な教え子が大勢居る。
組織化すれば勢力図を塗り替えるほどの派閥となるだろう。それなのに野望を持たない。


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