【ガルパンSS】沙織「彼女のうたかた」エリカ「ある日の喫茶店での出会い」
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6:名無しNIPPER[saga]
2020/07/03(金) 01:09:01.65 ID:a4T5KC6j0


「それは……戦車道の時だからでしょうね」

「戦車道の時はつんけんしちゃうの?」

「そこはね、どうしても。試合前とかはピリピリするものなのよ」

「ふーん、そんなものなのかなぁ」


納得、というほどではないものの逸見さんなりの理由があるのだという事は分かった。

よく考えたら桃ちゃん先輩も廃校が撤回されるまではいっつもピリピリしてた気がするし、

案外そういうものなのかもね。

なんて思っていると、逸見さんがじっと私を見つめている事に気づく。


「……でも、今のわたしが穏やかなのは……たぶん、あなたから戦車道の匂いがしないからかしら」

「匂い?でも私……たまに油臭いなーってなるけど……」

「そういう匂いじゃなくて、なんていうか……雰囲気とか、空気とか」

「空気?」

「私ね、戦車道やってる人はなんとなーくわかるのよ。歩き方とか、ちょっとした言葉選びとか。そういうのをひっくるめて匂いって事」


へぇーそういうのあるんだぁ……

言われてみるとみぽりんってパッと見ぽわぽわしてるけど運動出来るし戦車道の試合になると雰囲気変わるしでなるほど、わかる人にはわかるって事なのかな?


「うーん、確かに私まだ戦車道初心者だしね。戦車道やってます!って感じに見えないのはその通りなのかも」

「それで優勝チームの一人なんだからまったく……」


逸見さんは呆れるように、不貞腐れるようにコーヒーを口に含む。


「それで、なんで戦車道っぽくない人と話すときはクールなの?」

「……戦車道関係が入るとどうしても気を張っちゃうのよ。試合や練習中はもちろん学校でも……いえ、学園艦にいるとね」


逸見さんは私から視線を外し窓の外を見つめる。

その先にはここからでもわかるぐらい大きな船、黒森峰の学園艦がある。

だけど母校を見つめる逸見さんの瞳には諦めているかのような儚さが映っていた。


学園艦は私たちにとっての学校であると同時にそこに住む家でもある。

生徒のほとんどが親元を離れてて、一年の大半をそこで過ごす。

そんな学園艦に乗っていると気を張ってしまうというのならば、逸見さんが気を休められる時はいったいどれほどの時間なのだろうか。

それを想像した瞬間、私は胸が引きつるような痛みを覚えた。



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