キャプテン・アメリカ「モテない童貞くんの悩みを聞いてあげてください……?」
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名無しNIPPER
2020/08/07(金) 18:38:45.51 ID:Y0oQ9FMM0
この男の軽薄な態度はどうにも受け付けない。キャップはマスクの下で柄にもなく顔をしかめた。
眼前の鉄男は懲りずに薄笑いを浮かべ、その性格にふさわしい軽快なフットワークを刻んでいる。
やれやれ。あれじゃ格闘技というよりダンスだな。
こんな男を本気で相手にするのも馬鹿馬鹿しい。悪いが適当にあしらわせて貰おう。
溜息をつき、時間でも確認しようと鉄男から視線を外すキャップ。
「おやおや、敵に背を向けるのか? これはどうやら、僕の実力に恐れをなしたと見える」
なおも向けられる鉄男の軽口に、キャップはもはや返事をするのさえ億劫になっていた。
「なっ……!?」
しかし、次の瞬間鉄男が背後から打ち込んできたパンチにキャップは驚きを隠せなかった。
鉄男の拳が特別鋭かったわけではない。生憎だが、彼のパンチは常人の枠を大きく超える程には至っていない。
超人の反応速度を持ってすれば躱す事は容易だったし、仮に当たったところでキャップの強靭な肉体はビクともしなかった事だろう。
彼が驚いたのは、その拳の重さが、この軽薄な男から放たれたものにしては想像を遥かに上回っていたからだ。
少なくとも、ナイフとフォークより重い物を持つ事のないお坊ちゃまに出せる威力でない事は確かだった。
ほんの少し、鉄男の事を見直した。それとも、彼をいささか見くびり過ぎていたのか。
飄々として、時に不真面目とも取れる鉄男の態度だが、それは彼が誰かの前で熱くなるのをナンセンスと捉えているだけで
実のところ、その陰ではひたむきな努力が行われているのではないか。一転して、鉄男に対する好感が芽吹く。
これは、反省が必要なのは僕の方かもな。
つい先ほど鉄男の不誠実な態度を叱責していながら、自分も彼に対して手を抜こうとするなんて。
マスクの下、キャップの顔が再び引き締まった。
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