空銀子「竜王の側室にでもなるつもり?」夜叉神天衣「否定はしないわ」
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1:名無しNIPPER[sage saga]
2020/08/14(金) 20:23:33.41 ID:H0ikd4c1O
「銀子ちゃん、待った?」
「遅い」

弟弟子という存在を私は初め、便利な持ち駒に過ぎないと、そう捉えていた。

「ごめんごめん。今日に限ってあいが寝過ごして、俺まで寝坊しちゃってさ」
「そのまま永眠すれば良かったのに」
「酷くないっ!?」

酷くない。酷いのはいつも八一だ。
きっと、桂香さんならわかってくれる。
私はいつでも、いつだって待たされて、置いてけぼりで、もう立っているのすら辛い。

「八一、手」
「へ? ゆ、指とか折らないでよ……?」

恐る恐る差し出される八一の手に触れて、自分の指を彼の指に絡ませると、それだけで大駒一枚、いや二枚分は強くなれた気がした。

「行くわよ」
「あ、うん。あの……手、繋いだまま?」
「デートなんだから当然でしょ?」

私は歩き出す。力強く飛車先を突くように。
昔、よちよち歩きで私の後を追っていた竜の雛の道を、姉弟子として切り拓くように。

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