高垣楓「あなたがいない」
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203: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/25(金) 23:39:55.32 ID:17bnaLyc0

「ただいま」

 誰もいない部屋。この暗さにももう、慣れた。
 この前までちひろさんと一緒に料理したり、ゆっくりと話し合ったり。あるいは。
 泣きはらして、慰められたり。
 私はキッチンへ向かい、コップに水を注ぐ。ポーチから薬を取り出し飲もうとして。

「あ。今日はちょっと深酒しちゃったし」

 副作用が強くなってしまうといけない。そのままポーチへ、薬を戻した。
 さっとシャワー程度で済ませ、私は寝る準備をする。かち、かち、と。目覚ましの音。
 うまく、眠れない。
 やはり薬のお世話になるべきかと頭をよぎったけれど、それはダメなことと、もう一度目を瞑る。だが睡魔はやって来ない。
 私はむくりと起き電気をつけ、化粧台の引き出しから彼の手紙を、取り出した。




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