高垣楓「あなたがいない」
1- 20
202: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/25(金) 23:39:28.16 ID:17bnaLyc0

「そう言えば、楓ちゃん」

 夜。いつものイタリアンバルで、瑞樹さんとちひろさんと一緒にお酒をたしなんでいた。

「なんです?」
「先週、行ったんでしょ? P君のところ」
「はい、行きました」
「どう? 少しは落ち着いた?」
「おかげさまで」
「そう……ならよかった」

 私と瑞樹さんの会話を、ちひろさんはにこにこと眺めている。
 私が安定しているもうひとつの要因、それは間違いなくPさんだった。
 薬が効いてだいぶ安定しているとは言え、いつまた暴発するか、分からない。そう思ってしまうことが私を不安にさせる。
 でも。

 あそこに行けば、Pさんに会える。
 そう思うことで、私は心の安寧を得ている。
 それは現実を受け入れず、未だ夢を見ていると、そう言われても仕方のないことだ。
 けれどどうしても私は、Pさんを忘れることなど、できない。折り合いをつけること、それができるのは彼に会うこと。私の中にひとつルールができた。

 私たち三人はゆっくりと語らい、気が付けば夜もだいぶ遅くなってしまう。
 ちひろさんは私のマンションに寄るつもりだったけれど、今日は遅いしもうお開き、ということになった。




<<前のレス[*]次のレス[#]>>
216Res/171.18 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice