27: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/14(月) 21:07:39.84 ID:Od9IjqsH0
「まあ、大丈夫とはとても言えないですけど……でも、Pさんが残してくれた仕事がありますから」
私がそう答えると、瑞樹さんは「待って」と言い、私と目を合わせる。
「ダメ。ダメよ。そんな物分かりのいい楓ちゃん、P君が望んでる楓ちゃんかしら?」
瑞樹さんは言う。彼女の言いたい意味は分かる気もする。
しかし今は、それではいけない。私は視線を外し、瑞樹さんに言った。
「ごめんなさい……今はこうしていないと、自分自身どうかなってしまいそうですから……」
私は瑞樹さんに、ひどい言い訳をした。彼女はため息をひとつ、こぼす。
「そうね。昨日の今日だし、気を張ってしまうのは仕方ないわ。でも」
瑞樹さんは再び視線を向ける。
「張りすぎた弦は、いつか切れるわ」
瑞樹さんは私の肩をぽんと叩くと、スタッフに声をかける。
「それじゃあ、現場へ行ってきます。みんな、頑張りすぎないでね」
言葉を残し彼女は、事務所をあとにした。
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