8:名無しNIPPER[sage saga]
2021/03/30(火) 22:22:09.65 ID:sYBNk+YYO
「じゃ、行ってくる」
「ああ、気をつけて」
数日後、式波は新たな任務に向かう。
詳細は極秘らしく何も教えてはくれなかったけど、ここ数日の彼女の不機嫌ぶりから察するに碇に関連する任務だとそう察していた。
「式波」
髪だけは普通の人間と同じように伸びる式波の後ろ姿に声をかけると、彼女は振り向き。
「ちょっと、あのバカを殴ってくるだけよ」
それだけを教えてくれて、それだけで全てが伝わり、余計なひとことが口から漏れた。
「燃えるようなキスは、やっぱ無しで頼む」
そう言って俺が頭を掻くと、式波は勝ち誇った顔で鼻を鳴らして、にやりと笑った。
「逃した魚より釣れた魚のほうが美味しいに決まってるじゃない。バカね、ケンケンは」
式波。君は本当にすごい。すごすぎる女だ。
「ちょ、何でおしっこ漏らしてるのよ!?」
「いや、これは所謂、嬉ションと呼ばれる現象で」
「フハッ!」
滅多に見れない式波の笑顔に俺は見惚れた。
式波。碇とケリをつけたらそしたらアスカと下の名前で呼びたい。その日が待ち遠しい。
「フハハハハハハハハハハハハッ!!!!」
哄笑の残響を残して、式波は宇宙へ向かう。
衛星軌道上から俺たちのやり取りを眺めているであろう、神様となった同級生を迎えに。
【ケンケンだけのモナリザ】
FIN
10Res/9.68 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20