6:名無しNIPPER[saga]
2021/04/18(日) 01:47:20.17 ID:S9RXO5Th0
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小梅の話を要約するとこうだ『放課後の車庫に忘れ物を取りに行ったら、自分以外誰もいないはずの車庫に人がいた』。
それだけならただ小梅がその人に気づかなかっただけか、その後に誰かが入ってきただけなのだろうって話なのだけれど、問題はその人が『真っ黒』だったという事。
「黒くて、立体感がなくて、まるで……そう、まるで……影、みたいな」
手も足も胴体も頭も厚みの無い平面の体。だけどそれは空気に張り付いてるかのように立ち上がっていて、それがコマの飛んでるアニメみたいに少しづつ自分へと近づいてきた。
あまりにも非現実的な光景に小梅は全力で逃走、途中で見つけた小島に泣きついて私の所へとやってきた。というわけらしい。
「影ねぇ」
そういえば以前『影とは現実世界に唯一存在する二次元』なる話を聞いたことがある。
常に私たちについて回る影という存在は、けれども私たちと並び立つ事は絶対にありえない。
だというのに、それが立ち上がり自分の元へと近づいてくるなんて突然異常な姿を見せたとあれば小梅が恐慌するのも当然なのかもしれない。
実際、私も自分の影が突然立ち上がるのを想像すると怖気立ってしまう。
しかし表情に出すのは堪え、引きつりそうになる口元を手で隠し、思案している姿を装う。
「エリカさんどうしよう……私、怖くて……」
「エリカ、なんとかしてあげられない?」
「私は陰陽師でも無ければ霊媒師でもないわよ……」
頼られるのは悪い気がしないが、だからと言って無茶ブリされたって困る。
そうは思いつつも、私は既に腰を上げて廊下へと向かっていた。
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