【ガルパンSS】エリカ「彼女が望んだ忘れ物」
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5:名無しNIPPER[saga]
2021/04/18(日) 01:46:29.59 ID:S9RXO5Th0
「……幽霊、ね」

どこか呆れの混じった私の声に、小梅は縋りつくような表情を向けてくる。

「馬鹿みたいって思うかもしれません、信じられないって、当然です。でも……でもっ!!私見たんですッ!!」

悲痛な声が教室に反響する。

責めるようなエミの視線が私に突き刺さり、居心地の悪さを感じながらも眉間を指で叩いて言葉を探す。

「あー……ごめんなさい。いきなりだったから」

何といっても幽霊だ。

年ごろの女の子が集まる学校という空間でのこの手の話題は『○○先生ってあの先生と付き合ってるんだって!!』という話並に信憑性が低い。

こんな事で小梅がわざわざ嘘を吐くという事もないだろう。

だからと言ってなら信じる!となるほど単純な思考回路は持ち合わせておらず、どうしたものかと考えあぐねていると、エミが横から口を挟んできた。

「ほら、最近下級生の間で噂になってるのあるじゃん?」

「あー……なんだったかしら。下校時刻のお化けさんとかそんなんだった気が……」

「微妙に違う……『放課後の幽霊』だよ」

そう言われてそういえば以前後輩の子たちがそんな噂話をしていたのを思い出す。

なんでも放課後の車庫ですすり泣くような声が聞こえ、中に入ってみると誰もいない。

出て行った形跡も隠れているわけでもないというものだ。

まぁ大方風の音でも聞き間違えたのだろうと本気にしてはいないが。

「で?その与太話がなんだって言うのよ」

「だから、小梅が見たのもそれなんじゃない?って話。その幽霊」

「どうかしらねぇ……」

口では曖昧に濁したものの先ほど述べた通りこの手の話の信ぴょう性を考えれば信じる余地は無い。

とはいえ、ここで『幽霊なんていないから安心しなさい』なんて言ってハイ終わりとするほど薄情でもない。

せめて相談に乗る態度ぐらいは示してやるべきだろう。

「とりあえず、何が起きたのか聞かせてもらいましょうか」

「……私、さっきまで車庫にいたんですけど――――」


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