9:名無しNIPPER[saga]
2021/04/18(日) 01:49:09.28 ID:S9RXO5Th0
「え?」
視線の先、シャッターから入ってくるのは夕日のみ。
なのに、目の前には『何か』がいた。
真っ黒な人。そう表現するしかない姿。
濃淡の無いその姿(シルエット)には立体感はまるでなく、夕日を背にしているというのに『何か』の周りには影らしきものは何一つない。
一目でわかる『異常』。
この世のものでは無い何かが、そこにはいた。
「なに、これ」
自然と零れた声は、震えで出鱈目な発音になっていて、背筋がぞわりとする。
「うそ……ホントに……」
つま先の感覚が消えていく。
後ずさろうにも震える足は思うように動いてくれない。
私はただ、その黒い影を見つめる事しか出来なかった。
影は動かず、私は動けず、時が過ぎる。
数時間、いや数分、いいやきっと数秒だったのだろう。
恐怖と動揺で曖昧になった感覚の中、私はふとある事に気づいた。
「黒森峰のパンツァージャケット……?」
影が纏っているのは私の見慣れた服。
黒森峰のパンツァージャケットだった。
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