武内P「島村さんとの距離が近いようなんです」
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9: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/12/28(火) 06:22:08.20 ID:Om8/vz+U0
※ ※ ※



武内P(……そろそろ島村さんとの約束の時間ですね)

武内P(急いで二人だけで話せる場を用意しましたが……覚悟が決まっているとは言い難い状態です)

武内P(しかしどれだけ時間をかけても、覚悟などできるわけがありません)

武内P(あの島村さんに気色悪いと思われる覚悟、あるいは――想いを否定して、恨まれる覚悟。そんな覚悟をどうやれば持てるというのでしょうか


武内P(時間をかければかけるほど状況が悪化する以上、いつまでも決まらない覚悟を待っている時間などありません)

武内P(私は今日ここで、島村さんに嫌われる……っ!!)


コンコン、ガチャ


卯月「失礼します」

武内P「……お疲れ様です、島村さん」

卯月「はい、お疲れ様ですプロデューサーさん。お話って何のコトでしょうか?」

武内P「……ええ、はい」

卯月「レッスンについてですか? あ、それとも新しいお仕事だったり♪」

武内P「いえ……そういった話ではありません」

卯月「え? う〜ん、それでは何のお話ですか?」

武内P「今日お話ししたいのは、アイドルの在り方についてです」

卯月「在り方……ですか?」

武内P「島村さんは学業とアイドルを上手く両立させていると思います。しかし一点だけ、不安がありまして」

卯月「は、はい。私に足りないモノがあるんですね。いったい何でしょう?」

武内P「これは私の思い過ごしだとは思うのですが……」

卯月「……?」

武内P「……」

卯月「プロデューサーさん……?」

武内P(言わなければ……まゆPが言っていた通りです。私にとって最悪の事態とは、島村さんに気味悪がられる事でも恨まれる事でもありません。アイドルとプロデューサーとして、適切な関係を築けなくなる事です)

武内P(言わなければ……たとえ、島村さんに嫌われようとも)

武内P「実は……」

卯月「あの……もしかして例の噂のコトですか?」

武内P「……噂?」

武内P(何とか切り出そうとした時です。島村さんが気になる事を口にしました)

卯月「あ、違いましたか? 実は最近、私とプロデューサーさんについて噂が流れていたみたいで、そのコトかなって」

武内P「私と島村さんについての噂ですか。それは初耳です。どういったモノでしょうか?」

卯月「そ、それが……ええっとですね。私とプロデューサーさんが、その……」

武内P「……私と島村さんが?」

卯月「か……隠れて付き合っているんじゃないかって!」

武内P「な……っ」

武内P(その噂は私の疑念が的外れではないと教えてくれるものでした。傍《はた》から見ればそう見えるほど私たちの距離が近いということであり、何より――)

卯月「お、おかしな噂ですよね! 私なんかじゃプロデューサーさんと釣り合うわけがないのに、アハハハハ」

卯月「でも……自分でも不思議なんですけど、恥ずかしいって気持ちや申し訳ないっていう思いより……プロデューサーさんと仲が良いと噂されて……嬉しいと感じちゃうんです」

武内P(――まんざらでもない様子で話すその姿は、ますます私の危機感を募らせるものでした)


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