過去ログ - 澪「私と唯とギー太とエリザベスとベッドと部屋」
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1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/03/08(火) 00:33:07.21 ID:MjAwUwlio






中学の時だったかな。


林間学校で行った、なんとかかんとか自然の家とかいうところ。

バスに揺られて一時間半くらい。

山の中腹あたりに建てられた施設で、学年のみんなと二泊三日の研修。

何の研修だったのか今となっては思い出せないけど、非日常なイベントに私は内心わくわくしていた。

でも私は班長だったからそれを顔に出さないようにした。


二日目の朝、律が私の身体を揺すって起こして、散歩に連れ出した。

気乗りしない私の手を、律は引っ張りながら歩いて、そのうち私もなんだか楽しくなってしまった。

山間だから朝は霧が濃くて、五メートル先もよく見えなくて。

陰気臭さに気が滅入った私達は、三十分もしないうちに宿舎に戻ったっけ。






……あの時の霧とちょうど同じ感じだ。


今、私の頭には分厚い霞みがかかっていて、ついさっきまで見ていた夢もなんだかよく思い出せない。









だから、目を覚ましたこの場所が私の部屋じゃない事に気づくまで、少し時間がかかった。


2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/03/08(火) 00:37:59.59 ID:MjAwUwlio





以下略



3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/03/08(火) 00:40:05.47 ID:MjAwUwlio
……ここはどこなんだろう。



この天井、私は知ってる。
以下略



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2011/03/08(火) 00:47:30.88 ID:MjAwUwlio
ベッドの中で寝たまま、私は部屋を見渡す。

ここにあるのは、
ギターが一本、
ベースが一本、
以下略



5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/03/08(火) 00:50:43.47 ID:MjAwUwlio
霧の奥にぼんやりと見える昨晩の記憶に、目を凝らす。

「ん……澪ちゃん、おはよ〜……」

裸の唯が目を瞑ったまま言った。
以下略



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2011/03/08(火) 00:55:12.06 ID:MjAwUwlio
唯が私の下腹部を撫で始めたところで、私の頭の霞はきれいさっぱり消えていた。

記憶の大パノラマが、恥ずかしさと罪悪感で私を殴るように迫ってくる。

私は唯と寝たんだ。
以下略



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2011/03/08(火) 00:58:19.09 ID:MjAwUwlio
「ねえ澪ちゃん、もうちょっと寝てようよ。今日、大学お休みなんだし」

唯はそう言いながら、私の腕に無邪気に絡み付いてきた。

「あ……うん」
以下略



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2011/03/08(火) 01:01:19.03 ID:MjAwUwlio
「え?なんで謝るの?」

「なんでって……」

「私は楽しかったよ。澪ちゃんは?」
以下略



9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/03/08(火) 01:04:44.03 ID:MjAwUwlio
ええと、これは、キスをせがんでるってことだよね?

私は唯の唇を凝視しながら、
ああ、昨日何回もキスしたっけ、柔らかくて温かくて、
お互いの舌が何度も絡んで、二人とも初めてだったから最初は手探りで、
以下略



10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/03/08(火) 01:07:46.78 ID:MjAwUwlio
私は慌ててベッドから這い出した。

「ごめん唯!先に顔洗ってくる!」

床の上に散乱した服の中から自分のラグランと下着だけを掴んで、私は洗面所に逃げ込んだ。
以下略



11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/03/08(火) 01:10:28.26 ID:MjAwUwlio
昨日までの私と唯、今日からの私と唯は、もう全く違うものとしてここにいる。

昨日は……
そうだ、私は講義が終わった後レコードショップで、律が話していた、ザスミスの元ギタリストが加入したバンドのCDを買って、
その後はいつも通りスタジオでみんなと練習して、それからムギと律はバイトに行って、私は唯と二人でファミレスに入ってお夕飯を食べた。
以下略



12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/03/08(火) 01:14:26.72 ID:MjAwUwlio
ファミレスを出た後、特に用事もなかった私はそのまま唯の部屋に転がり込んで、二人でゲームをして、それからテレビを見た。

あのバラエティー番組、面白かったな。
私も唯も大笑いしたっけ。

以下略



13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/03/08(火) 01:16:30.44 ID:MjAwUwlio
唯が部屋に戻ると、私は唯の髪にドライヤーをあててあげた。
水分を吸った茶色の柔らかい髪はしんなりしていて、私の指の間を滑った。
ハーブの甘い匂いがして、私はどこのシャンプーを使っているのか唯に訊ねた。
唯は「ムギちゃんに貰ったんだ」と答えた。
そう言えば、唯とムギは癖毛仲間ということでよく髪の話をしていた。
以下略



14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/03/08(火) 01:20:14.61 ID:MjAwUwlio
程よい暗さの中で、私は唯と色んな事を話した。

大学のこと、バンドのこと、梓のこと、今流れている曲のこと、将来のこと。

眠気が強くなってきたらしく、唯はだんだんとゆっくり話すようになっていって、ほとんど私の言葉に相槌をうつだけだったけど、将来の話になると途端に饒舌になった。
以下略



15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/03/08(火) 01:23:55.99 ID:MjAwUwlio
高校に入った時も大学に入った時も、唯の頭には希望しかなかったように私には思えていた。


唯が話し始めると、今度は私が相槌をうつだけになった。

以下略



16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/03/08(火) 01:27:14.59 ID:MjAwUwlio
唯は、宝箱を開ける順番が判らないと言った。

普通の人にも、例えば私にはドアという形で、宝箱は見えている。

とりあえず目の前にある宝箱を手当たり次第に開けていけば、真っ当な人生を歩めるようにこの世界は出来ている。
以下略



17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/03/08(火) 01:29:25.17 ID:MjAwUwlio
「でも、あずにゃんは寂しそうだったよ」

梓が寂しいと思った理由はなんとなくわかる。
私も、前に律が、彼氏が出来たフリをした時は嫌な気持ちになった。
私に一言も相談してくれなかったこと、律が私の知らない世界に属してしまったこと、私達をないがしろにしたこと、全部嫌だった。
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18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/03/08(火) 01:31:54.64 ID:MjAwUwlio
唯は言った。

「結婚できないかもしれない」
「一生キスもしないまま死んじゃうかもしれない」
「澪ちゃん、私、どうしたらいいんだろう」
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19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/03/08(火) 01:35:39.37 ID:MjAwUwlio
何かしなくちゃいけない。
私は恋愛できるのかな?
してもいいのかな?
誰かに怒られたらどうしよう。

以下略



20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/03/08(火) 01:38:11.11 ID:MjAwUwlio
暗がりの中で唯は身体を起こして、視線で私にすがってきた。

しばらく無言で見つめあった後、どちらからともなく慰めるような抱擁をした。

唯は、梓やムギ、それに律や和にもよく抱きついていたけど、私が唯とこういうスキンシップをするのはもしかしたらこれが初めてだったかもしれない。
以下略



21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/03/08(火) 01:40:21.03 ID:MjAwUwlio
何度も唇を重ねていると、自分の呼吸が荒くなっていくのがわかった。
最初は深く吸い込むように、それから段々と浅く、速くなっていった。
唯の舌が私の口の中に入ってきた時、もう私は考えるのを止めていた。
舌を吸い合ったり、歯の裏を舐めたり、そうやってお互いが気持ちよくなれる方法を探った。

以下略



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