過去ログ - ほむら「本当はまどか以外とも友達になりたかった」
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1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage]
2011/06/04(土) 20:51:55.74 ID:lLHRrm4v0

原作ではあまり描かれなかった,まどか以外の魔法少女とほむらとの絡みを妄想で補完するSSです。
先月末にこのSS速報VIPに投稿した「ほむら『ごめんなさい,マミさん』」の続きになります。
マミさん,杏子,さやかの順にそれぞれ10レス前後の短編,基本シリアス。もうすでに書き終わっているので,淡々と投下します。

まずはマミさん編。上記の前作を細部修正して再掲します。以前読んでいただいた方,ありがとうございました。

時期は三話マミさん死亡後。ほむら一人称視点の独白で進みます。
初めてSS書くので変なところも多いかと思いますが,楽しんでもらえたら嬉しいです。
では,次のレスから。



2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage]
2011/06/04(土) 20:56:07.58 ID:lLHRrm4v0

陽が落ちる。見滝原はまだ若い街だ。鈍くきらめくビルが,道路が,工場が,強烈な西日を散らして,
街は鮮やかな茜色に染まる。

金糸が錆びついたような色。あの人がいなくなるのは,いつもこんな日。
以下略



3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage]
2011/06/04(土) 20:57:44.29 ID:lLHRrm4v0

ひとつ深く息を吐いて,私は移動をはじめる。向かう先は,さっきまであの少女がいたマンションの一室。
ここからは空中回廊でつながっているけど,私は一度階段を降り,向かいのマンションにエントランスホ
ールから入り直す。なんとなく,それが礼儀な気がしたから。あの人ならきっとそう言うから。

以下略



4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage]
2011/06/04(土) 20:59:33.87 ID:lLHRrm4v0

ずっと秘密にしていること。はじめは,友江さんだと思っていた。学校は休んでばかりだったから,巴と
いう字を知らなかった。今でも,漢字は嫌い。私たちが口に出せるのは,ひらがなだけだから。私の心を
掻きむしるのは,巴マミっていう三つの文字じゃなくて,ともえまみっていう五つの音だから。

以下略



5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage]
2011/06/04(土) 21:01:27.39 ID:lLHRrm4v0

リビングに入り,少し目を細める。ガラスのテーブルには数冊の紅茶の本と一冊のキャンパスノートが
置かれ,その脇にはティーセットが散乱していた。お気に入りのフォションの茶葉,それを計量する小
さな木匙。可憐な花柄で統一されたポットとカップとソーサー。少しだけ自慢げだった,ヴェネチアン・
グラスのティースプーン。
以下略



6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage]
2011/06/04(土) 21:03:00.42 ID:lLHRrm4v0

ティーセットをまとめて,流しに持って行く。本を本棚に戻す。栞はそのままにしておいた。キッチンから
布巾を取り,ガラステーブルに点々とついた紅茶の飛沫を拭き取っていく。

ぽたり,ぽたりと新しい水滴がテーブルに落ちて,いつまで拭いても終わらない。自分が汚したものくらい
以下略



7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage saga]
2011/06/04(土) 21:05:05.52 ID:lLHRrm4v0

必死に口元を抑えて嗚咽をかみ殺す。乱暴に瞼をこすり,洟をすすり,頬を叩く。カチューシャを引きちぎ
るように抜き取り,滅茶苦茶に髪を掻きむしる。ああきっといま,私ひどい顔してる。

女の子がそんな顔しちゃダメよ,もっと可愛く笑いなさいな。
以下略



8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage]
2011/06/04(土) 21:07:41.08 ID:lLHRrm4v0

あの人は,私のループが始まる時点ですでに魔法少女になってしまっている。だから,どうしても,
どうやっても,救うことができない。何度も何度もあの人を救う道を探した。でもその度に,私の
希望ははかなく打ち砕かれてしまった。

以下略



9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage]
2011/06/04(土) 21:09:52.85 ID:lLHRrm4v0

先輩。ずっと学校に行けなかった私の,はじめての先輩。やさしくて,ちょっぴりお姉さんで,面倒見が
よくて,時々お茶目で,頼りがいがあって。真っ白な病室で夢見ていた,少女漫画に出てくるような理想
の先輩。人を頼るのがすごく下手だった私が,はじめて心を預けることのできた人。

以下略



10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage]
2011/06/04(土) 21:11:23.25 ID:lLHRrm4v0

リビングの茜色は少しずつ褪せていく。いつしか涙も涸れてしまった。もう一度テーブルを拭いて,
布巾をキッチンに返す。バルコニーへと続くガラス戸に,私の姿が映り込む。案の定,とても不細工
な顔。そしてどこか,はじめてあの人と会ったときの私に戻ったみたい。

以下略



11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage]
2011/06/04(土) 21:13:42.69 ID:lLHRrm4v0

紅茶の香りを胸一杯に吸い込んで,もう一度大声をあげる。さあ,おしまい。戻れなくなる前に。
カーテンを閉め,茜色の光線をかき消す。

大丈夫。私はまだ,戦える。
以下略



12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage]
2011/06/04(土) 21:18:21.74 ID:lLHRrm4v0

ほむマミもっと流行るといいな。前に投稿したとき,賛同者がいてくれて嬉しかった。

杏子編。ゲームセンターで杏子に協力を要請し,ポッキーを空海された直後のお話。
引き続き,ほむら一人称視点で話が進みます。マミさん編よりも幸せな感じ。
以下略



13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage]
2011/06/04(土) 21:20:29.68 ID:lLHRrm4v0

四方八方からの電子音の洪水,安くて苦い煙草の匂い,薄闇の中に浮かぶ毒々しいライト。そして,死んだ
魚ような眼をした青年たち。とても少女の遊び場には相応しくないけど,案外,こういう場所は嫌いじゃな
い。良い子であることを強要されない空間が,どうしようもなく心地いいこともある。

以下略



14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage]
2011/06/04(土) 21:22:59.94 ID:lLHRrm4v0

佐倉杏子は仰々しい電子ドラムセットの前に陣取ると,自然な動きで硬貨を機械に挿入する。私にはよく
分からない設定を終え,けたたましい曲が始まる。正面に設置されたモニタの上から降ってくる光の棒が
楽譜代わりなのだろう。画面の明滅に合わせ,二本のスティックが小気味よくビートを刻んでいく。

以下略



15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage]
2011/06/04(土) 21:26:48.48 ID:lLHRrm4v0

二曲目の終了と同時に,モニタにはPERFECTの文字が踊る。三曲目も同様。杏子はスティックを元の
位置に返し,私にガッツポーズを向ける。よくわからないから,拍手をしておいた。普段は観客が
いないからか,やけにご満悦のようだ。

以下略



16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage]
2011/06/04(土) 21:29:58.09 ID:lLHRrm4v0

「これにするわ。」
「いいねえ。」

銃の形をしたコントローラーを使い,画面の中の標的を撃ち[ピーーー]野蛮なゲーム。私はスタンドから自分
以下略



17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage saga]
2011/06/04(土) 21:31:44.26 ID:lLHRrm4v0

ごめんなさい,sagaを入れるのを忘れました。
上の伏せ字になっているのはもちろん「撃ち殺す」です。



18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage saga]
2011/06/04(土) 21:34:13.28 ID:lLHRrm4v0

ゲームが始まる。荒廃した街の中,人や犬のゾンビが続々と画面手前に迫り,私たちはそれを次々に
撃ち払う。画面の杏子側に近いゾンビを撃ったら,ものすごく不満がられた。自分の持ち場は自分で
守る,それがこのゲームの基本だと。そういうことにしておこう。

以下略



19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage saga]
2011/06/04(土) 21:36:42.55 ID:lLHRrm4v0

しばし沈黙が続き,銃声だけが響く。私たちは,人の形をしたものを粉砕していく。

「何が言いたいの?」
「別に何も。思いついたことを言っただけさ,お説教しようなんて気はないよ。ただ,」
以下略



20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage saga]
2011/06/04(土) 21:39:49.17 ID:lLHRrm4v0

私は彼女の横顔を盗み見る。あくまでゲームに集中していると言わんばかりの,表情のない顔。でも,
表情がなくても,いや,表情が無いからこそ,どこまでも慈愛に満ちた顔。御仏のような,と言ったら,
教会出身の彼女には怒られるだろうか。

以下略



21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage saga]
2011/06/04(土) 21:43:11.73 ID:lLHRrm4v0

私たちはあっけなく最終ボスを倒し,画面にはスタッフロールが流れ,得点が表示される。ランキング
登録名は勝手にKYOKOMURAにされた。この店の歴代二位らしい。喜んでいいものやら。

「二位よ。まあ,パーフェクトコレクターのあなたには残念だったわね。」
以下略



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