過去ログ - パイルドライバー
1- 20
1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]
2011/06/26(日) 15:36:53.14 ID:BD9wf7ABo
四人掛けの対面座席に紬と梓が座ると間も無くして車窓が流れ始めた。
最近導入されたばかりの新規車両なだけあって走り出しは滑らかだったがそれがかえって居心地の悪さを感じさせる。
「なんか、これはこれで変な感じですね」
レバーを引いて背凭れを起こしながら梓が言った。
「え?対面じゃないほうがよかった?」
「あ、いえ、そうじゃなくて、電車ってもうちょっと揺れるイメージがありません?」
うーんと唸った後、紬は「そう?」と返事をして、それが梓には少し素っ気無く思えた。


それから天気の話やテレビの話を芝居がかった調子で申し訳程度にして、30分もすると話題は尽きた。
梓が喋れば喋るほど紬は聞き役に徹してしまい、さらに梓が言葉を重ねると紬は微笑みながら頷くだけになる悪循環。
紬にとって会話というものは向こうからやってくるもので、と言っても相手に任せるという事ではなく、「会話」自体が布のように二人の上に降りてくるのを待つともなく待つといった具合で、「もたせる」とか「盛り上げる」という発想がなかったのだ。
いよいよ梓が次の言葉を見つけられなくなると、紬は車内を見渡したりシートを寝かせたり起こしたりするだけになった。
向かい合った座席がもう少し近ければ無理にでも会話を続けようと話題を捻り出すこともあったろうが、ゆったりとしたスペースは話すも寝るも自由といった具合で、徹しきるのが苦手な梓には仇となった。
時計のストップウォッチ機能で7を揃える遊びを梓は提案したがそれも数回やってお開きとなった。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
19Res/16.35 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice