過去ログ - ほむら「この話に最初からハッピーエンドなんて、ない」
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3:以下、VIPPERに代わりましてGUNMARがお送りします[saga]
2012/02/11(土) 17:47:09.00 ID:SSZUNYll0
ほむらの武装は「盾」だ。
願いに「護る」という想いが内包されたほむららしいといえば、その通りかも知れない。
しかし、肝腎の魔女を倒す為の武器が無かった。
魔法少女の多くは、己のイメージした武器を魔力を使い、具現化して操ることが出来る。
勿論、ほむらも試してみたのだが、一向に武器は発現しなかった。
これはほむらの魔法の特性が極めて特殊だったが故に起きた、稀有な事例であったのだが――

ほむらは「時間停止」の魔法を駆使し、実用性のある武器を調達した。
爆弾を作り、銃などの火器類を非合法に入手することで、魔女に対抗する火力を得たのだ。
それは魔力で武器を自製出来ないほむらにとっては、必要不可欠な行為だった。

ほむらが一箇月後、超大型魔女ワルプルギスの夜を乗り切り、且つまどかの契約を阻止したとしよう。
ほむらは時間停止能力を失い、時間遡行能力を得る。
時間停止が行えないので、銃器類の調達は出来なくなり、武器は自家製爆弾のみとなる。
武器が練成出来ず、魔力による身体強化も他の魔法少女に劣り、
時間停止という切り札を失ったほむらに独力で生き残る術はあるのだろうか。

可能性だけを論じるなら、ゼロではないだろう。
だが、ほむらは恐らく、生き抜き戦い抜く道を選ばない。
繰り返す一箇月の間にほむらは、魔法少女という存在に対しての認識を改めざるを得なくなっていた。
願いをただ一つの希望と胸に秘め、その他全てを虚飾に彩られた、おぞましき戦闘人形。
魔法少女は夢を叶え、希望を振り撒く存在? 冗談じゃない。それはやがて必ず絶望に変わる。

ほむらは、魔法少女というものに対して、徹底して否定的だった。
だからこそ、ほむらは目的を果たしたその時に、自分自身を終わらせる気でいた。
方法は差し詰め、ありったけの爆弾を抱えての、魔女への特攻か――

まどかを救えなければ、ほむらは無限の迷宮を何度でも巡り続ける。
まどかを救えれば、ほむらには生きる術も目的も理由もなくなり、彼女の生は終わりを迎える。
ほむらが生き延びたければ、再び時を遡るしか手は無い。

暁美ほむらもまた、鹿目まどかと同様に、一箇月以上先の未来を決して見られない。

――本当はほむらも気付いている。
身を挺して一箇月間、まどかを護り抜いたところで、それではまどかが契約しなくなる理由たり得ない。
まどかは人の役に立つ魔法少女に成りたがるし、契約を取り結ぶキュゥべえも居なくならない。
まどかを魔法少女にしたくないなら、ほむらはずっと傍に寄り添わねばならないことになる。
しかし、それは叶わない。

では、ほむらは何の為に生きているのか?
約束を、守る為だ。
三度目のあの日、掛け替えのない友と交わした約束を果たす、ただそれだけの為に。

『ほむらちゃん、過去に戻れるんだよね?
こんな終わり方にならないように、歴史を変えられるって、言ってたよね……。
キュゥべえに騙される前の、バカなわたしを……助けてあげて、くれないかな』

『約束するわ。絶対にあなたを救ってみせる。
何度繰り返すことになっても、必ずあなたを守ってみせる』

ほむらは、初めての友達との、たった一つの約束を、守り抜きたいだけなのだ。
約束を果たせた時、ほむらは初めて本心から、私はまどかの友達だと胸を張れるのだ。
ほむらにとって、友達という単語が持つ意味は、途轍もなく大きい。
彼女の価値観という秤に掛ければ、まどかの安否は、世界の命運よりも、……重い。

初めからそうではなかった。
契約した当初のほむらは、魔法少女としてまどかを救い、他の魔法少女も助けるつもりでいた。
しかしその願いは、見るも無惨に打ち砕かれた。
ほむらは必死の思いで、粉々になったソレの中から、辛うじてまどかの救済の欠片を掻き集めたのだ。
ほむらには、他にもう縋る物が無かった。

願いは歪に形を変え、ほむらに残されたのは、ただ約定を違えぬこと。
それが叶わねば、ほむらの胸の悪腫は熱を持ち痛みを訴え、身体は膿んでその腐肉は魔女を産み落とす。

故に、ほむらは進むしかない。
その先にあるのが、破滅だとしても。

――それが、暁美ほむらの余りにも凄惨な生き様だった。



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