過去ログ - 一方通行「……好きなンだ」美琴「ごめん無理」
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8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga ]
2012/02/25(土) 01:01:31.14 ID:iDYIWzj20


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今でこそ男か女かわからない外見の、女に一切の興味を持っていないかのような一方通行であるが、
そんな一方通行も過去一度だけ恋をしたことがある。
まだ一方通行の髪が黒かったことの話だ。
反射もまだ完璧ではなく、しかしその能力故に友達がいなかった一方通行の遊ぶものといえば公園での遊具のみ。
そして学生ばかりの学園都市には当然子どもも多く、人気の少ない公園というのは限られていた。
自分を囲う研究所の丁度裏に――今はもう取り壊されているが――一方通行の気に入る公園はあった。
そこには申し訳程度の大きさの砂場と、古びたブランコが二つのみという寂れた公園ではあったが、
他の子どもが友達同士で遊んでいる姿を見ずに済むという理由だけで一方通行には充分だった。
いつものように砂場で砂を寄せ上げていると、ふと影が射した。


「ね。何を作ってるの?」


明るい茶髪を跳ねさせた可愛らしい少女であった。
顔は耳まで真っ赤に染まり、上手くその問に答えることはできなかった。
言葉はボロボロ、汗はびっしょり。どもりにどもった結果、「やはfdkぉv」という意味のわからない言葉にしかならなかった。
有り体に言えばキモヲタのような、変態と言われても可笑しくないような返事しかできなかったのだ。
けれどそのとき少女は嫌そうな顔を表面に出すこともなく、一方通行に笑いかけたのである。
それは、同年代に厭われた続けた――しかも異性に馴れていない少年を恋に落とすのには充分であった。

その晩一方通行は練習をした。
少女に問われてもスムーズに答えることが出来るように。
会話を続けることが出来るように。
――しかし、次の日少女が公園に来ることはなかった。

一方通行はこのとき気がつくべきだったのかもしれない。
いや、べきだったのだろう。
少女が一方通行に笑いかけたのは本当に優しさからきたものだったのか。
少女が公園に来なかった理由を。

一方通行は少女を捜した。
それに時間はそうかからなかった。
何せ研究所からそう離れてはいない公園で、同い年ぐらいの子どもたちと高い笑い声を響かせながら遊んでいたのだから。
声を掛けることは出来なかった。
大勢に声を掛ける練習をしていなかったというのもあるが、何より初恋だ。
恥ずかしくて、見つめるという選択肢しか選ぶことができなかったのだ。


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一方通行「――で、どうしたと思う?」

天井「だから、ずっと見ていたんだろ?」

一方通行「……あァ。けど俺にも勇気ってもンがあったみてェでな」




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