過去ログ - 氷菓に不満があったのでSSを作ってみた。
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2:その2
2012/05/24(木) 19:32:42.81 ID:KdslAUbA0
「ああ、同じ古典部部員なんだ」
「はい、初めまして。千反田えるです」
「そうじゃないの!何か、雰囲気というか、あんた、その、まさか…。」

 妙に摩耶花が動揺して、あの強気な態度がすっかり崩れてる。

「ああ、恥ずかしながら、俺とえるは付き合ってるんだよ」
「はい。まだ、日が浅いですが、そういう関係です…。」

 恥じらっている、えると目線が合って、つられて俺まで赤くなってしまう。

「じ、冗談よね?千反田さん、こんな男に何か弱みでも握られているの?それなら…」
「いいえ、奉太郎さんは頼りになる素敵な男性ですよ」

 えるは、俺に寄り添い、腕を組んでくる。

「おいおい、ホータローじゃないか。何騒いでるんだよ?って女子と腕を組んでる?!」
「千反田さんだ。俺の彼女だよ。あいつは、友人の福部里志だ」
「初めまして、福部さん」
「あ、ああ…、初めまして、千反田さん」

 里志は、摩耶花を凝視している。その視線に気づいたのか摩耶花も見つめている。摩耶花は恋愛
ごとに疎い俺から見ても明らかに里志に求愛しているように思えるが、里志はどういうつもりか、
はぐらかし続けている。

「ここじゃ、何だし、書庫に来て」
 図書室は静粛にしないといけないので、ややこしいことになりそうな俺たちを摩耶花は書庫へと
誘った。

「あんたたち、いつ付き合ったのよ。あたしの知らないうちに」
「幼なじみだからといって、そんな言い方しなくてもいいだろ。姉からの手紙で古典部に入るよう
に言われてさ、部室に行ったら、千反田さんが居たんだ。それでいろいろあってな?」
「はい。奉太郎さんとは意気投合しまして」

「はー、ばっかじゃないの。これで清々したわ。肩の荷が下りる気分よ。お幸せにーだ!」

 ほんっと、摩耶花の毒舌は相変わらず、突き刺さるな。

 そんな中、里志は重大な何かを決意したような気合いで、
「あのさ、摩耶花。僕、正直、摩耶花は奉太郎とは何か、入り込めないような感じで、僕には気持
ちを伝えて来るけど、それは、鈍い奉太郎への当てつけなんじゃ無いかと思ってたんだ」

 摩耶花は、唇を噛んでうつむいてる。

「それで迷ってたんだよ。単なるポーズじゃ無いか?とか。でももう、そんなややこしいことは
必要ない。
僕は、いつの間にかお前のことが好きになっていた。今、はっきりした。僕と付き合ってくれ!」

 摩耶花は涙を流し、くしゃくしゃの顔だった。

「何よ、馬鹿じゃないの。さんざんアプローチしたのにそんなこと思ってたの?奉太郎とは偶然、
幼なじみみたいになってるけど、恋愛感情なんて無いわ。改めて言うわ。あたしも里志が好き!
大好きよ!」

 二人は抱き合ってキスしていた。収まるところに収まった様な、平和な光景だ。

「あの…奉太郎さん?ほんとは、摩耶花さんのこと、好きだったんじゃないですか?」
 えるがなんかふくれてるよ。
「マジでそんなことないって。あの二人が勘違いしてただけだよ、アハハ」

「「笑うな!」」
 摩耶花と里志に怒られてしまった。

 その後、えるが古典部の文集で知りたがっている事を説明したら、二人とも妙に興味を示して、
謎解きに参加してくれる事となった。




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