過去ログ - 奉太郎「古典部の日常」
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29: ◆Oe72InN3/k
2012/09/06(木) 21:51:07.96 ID:mVZBQuHy0
える「そ、そうなんですか。 知らなかったです」

そう言うと、千反田は顔を伏せてしまった。

奉太郎「はあ」

摩耶花「やっぱりしてたんじゃない、ヘンな事」

おい、それだけで変な事扱いとは、世の中の男はどうなる。

奉太郎「大体だな、本当にただ一緒に回っていただけだぞ」

奉太郎「お前らだって、気になる物があったら見て回るだろ、里志もさっきそうだったように」

そこまで言って、これは俺のモットーに反する事ではないか、と思い始めた。

しなくてもいい事。だったのでは、と。

里志「はは、ジョークだよ。 ごめんね、千反田さん、ホータローも」

奉太郎「俺は、別にいい」

える「い、いえ、大丈夫です。 気にしないでください」

そう言うと、千反田はようやく顔をあげた。

それからは、席を4人の所に移してもらい、談笑しながら飯を食べる。

一通り食べ終わり、会計を済ませ、店を出ようとした所で、千反田がなにやら言いたそうにこちらを見ていた。

奉太郎「千反田、どうかしたのか」

千反田は、伊原と里志に聞こえてないのを確認し、こう言った。

える「あの、折木さん、さっきはありがとうございました」

なんだ、そんな事か。

軽く返事をし、行こうとすると。

える「でも、勘違いされたままでも、私は気にしませんよ」

言われたこっちが恥ずかしくなる。

別に俺も、そのままでも良かったんだが……疲れるしな。

しかし「俺もそのままでも良かった」とは、いくら言おうとしても、何故か言葉にできなかった。

出てきたのは「ああ、そうか」という無愛想な返事。


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